一転

□テレフォン
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プルルル




ガチャ


「はい、
ちょっと待ってね。
真ー、電話ー」

「あー?」

「加奈ちゃんからー」

「うぃー」


母さんから受話器を受け取る。


「あい」
「あ、自由ー?」
「おー、母さん」
「いや、加奈だけど」
「真なんだけど、」


しばしの沈黙。

あたしの称号は自由人。
自由過ぎらしく命名された。
だがよく分からん、
何が自由なんだ?

んでもって、
ぱっつん、いや、加奈の称号はお母さん。

何でもできるし気が利くし、
ちなみにあたしが命名した。


「んで、どした?」
「いや…暇かなーおもてなー」
「うん暇」
「あれ、ほんと?」


嘘はつかないでしょーよ。
まあジャンプをニヨニヨしながら読むという任務はまだ終わってないが、
一時休戦。

パタム、

とジャンプを閉じ、会話に集中する。


「唐揚げ食べたいな〜♪」
「何いいだすんだ急に」
「今そう思った」
「作ればいいじゃない」
「油がねぇ…」
「ああ、」


そういえば、
こないだもそんな事言ってたな。
揚げ物食べたいけど、
油が勿体ないから作れないとか。

肉はやっぱ大事やろ。

てか俺も最近肉食ってねぇ。
腹減ってきた…!


「話題変えよう」
「えー?どうしたん?」
「腹減ってきたんや」
「あはは、まじかー」

ちなみにこの電話、
週に2回か3回はやっている。
ぱっつ、、加奈とね。
いつもこんな感じ。

思った事言ったらその話題について

のほほーん

と話す。

端から見たら、
それ楽しいの?
状態に陥るかもしれない。

だが、毎日こう、続けば、
電話ごしの声が懐かしく感じるというか。
暖かくなるというか。

それでも毎日会ってはいるんだけどな。


「今度、こないだ買ったマシュマロ焼こうぜ」
「そいえばあったねぇ。
うん、焼こ!」
「うまいよなあ、あれ」
「甘くて美味しいよね!」
「そう!甘くて!」


マシュマロぶーむ到来。

マシュマロは普段お菓子売り場とかで目にしても買おうとは思わない。

がしかし、

ぱっつ、あーも、ぱっつんでいいや。
ぱっつんの家で焼いて食べたあの瞬間。




俺はマシュマロに恋をしてしまったんだ





「おーい?生きてるかーい?」
「お、おぉ。生きてますよぃ」
「そか、ならよかった」
「そんな簡単に死なんし」

そう言って笑う。

「そやね」

ってぱっつんも笑う。
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