一転

□観察日記
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こんにちは、あたしはこれでも生徒会の会計を勤める綾羽礼未です。


別に観察してるわけじゃないの。
たまたま彼等が目に入ってきちゃうだけ。

何だろうなー、
楽しいというよりは正直驚いてるって例える方が正しいのかも知れない。


10月21日。

まさかの告白シーンを目撃してしまった。

場所は屋上。
屋上のドアの上は寝転がれるいいスペース。
そしてあまり人に見えない。
こっちは上からよく観察したりする。

告白されてたのは一瞬横顔が似てて真と間違いそうになったけど、違う。
我が生徒会の一員である柚木葉であった。

見る限りいかにも面倒臭そうな、早く終わってほしい。
という顔をしていたの。
勇気を振り絞ってる女の子に対して、それはあんまりなんじゃない?

いいたかったけど、
必死に我慢。

「好き……です!」

「悪ィ、無理だ」


なんの、一瞬の迷いもなく言い放たれた言葉。

可哀相だ、って思うけど、


けど、

その次に彼女から出た言葉に驚いた。


「じ、じゃあ…
内瀬先輩は大丈夫だと思いますか!?彼女とかいるんでしょうか!?」


彼女の気の変わりようにびっくりした。

それはまるで、
真ちゃんに保険をかけてたような気がして。
あれ?
でも真ちゃんって女の子だったわよね?
あれれ?


その時の柚木の表情ほど冷たいものはないと思った。


「却下」


それだけ言うと柚木はさっさと足早にその場を後にした。

もしかしたら柚木は、この事が分かってて告白を断ったの?

だったら上出来。

なんて事を思ったのがこの一日。




10月22日


の帰り道。

楽しそうに前を歩く、真ちゃん達といつも一緒にいる真壁君と斑さん。


声をかけてお話しようとも考えたけど、
邪魔しちゃ悪いかな?
って思って声かけなかったり。


でもその後ろにいる電柱に隠れてる人が気になった。
隠れながらチラチラと怪しく二人を何度見もする人。
誰かは分からない、から真ちゃん達と同じ学年かまたその下ね。


あたしが近くに行っても気付かないところを見ると、よっぽど前の二人に必死みたい。

呪文のように、

「いる…まだいる…いつ…まだ…今じゃない…」


と言う言葉を繰り返していて、
何だか呪われてる気分になってしまった。

とまあ、怪しかったから

「何してるの?」

って声をかけてみるけど気付かなくて。
だからもう一度さっきより少しだけ、前の二人に気付かれないような大きさで聞いてみる。

そしたらそいつ、ビクゥ!!
って体を大きく震わせて

「で、でたああああああ!!!!」

なんて叫びながら二人とは逆の来た道を全速力でかけていって。


……失礼しちゃう。
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