一転

□不器用な弱い虫
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あと、少しなんだ。


あと少しで完成するんだ。

そしてあと少しで、
夏希ちゃんのバスケの大会なんだ。


そこまで大きい大会でもないらしいけど、
2年の中でもほんの数人。3年生と一緒に試合に出る事ができる。
そのほんの数人に夏希ちゃんは選ばれたのだ。

それを俺に、
笑顔で幸せそうに話してくれた夏希ちゃんを見て俺も…なんかしてあげたいって思ったんだ。



でもなんも思いつかなくて、
バスケはやった事ないし、だったら練習相手は経験者の真がいいだろうし。


肩揉む?
なんか毎日おごってあげる?



駄目だった。


だから、
滅多にしない不器用な俺が本屋行って見つけてきた。


前に皆と夜の学校に取りに行った時の本。
その時、めちゃくちゃ引いた顔で真と葉と何故か加奈ちゃんからも言われた。
『どーせエロ本だろ泣き虫』
……馬鹿ァ!!!
違うもん!俺そんなん多分興味ないもん!!


その後、誤解を解くのが大変だった。
この本については誰にも教えたくなくて、見られたくなくて。


今は加奈ちゃんに
『冗談だったって〜』
と笑いながら言ってもらえた。
加奈ちゃんからは誤解が解けてまあよかったと思う。
問題はあのチビコンビなのだが、普通なら放っておいてやってもいいが夏希ちゃんの耳に入ったらと思うと放ってもいられない。


とか思ってもいたけど結局放っておいてしまったのはもう気にしない。
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