一転

□いつかの客
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「帰る?」
「うーん。暑いけど早く家帰りたいし」
「そーだね」


あはは

って二人で笑っていると、
ドタバタと荒い足音。


それは段々近付いてきた。



バンッ!!



「内瀬!!柚木!!!」

「うわっ!」


いきなり図書室のドアが開いた。
その瞬間に真と柚木の名前を叫ぶ誰か


びっくりしたし、

すごく顔が怖い。



「なな、何でしょうか?」



流石お父さん。
我が家の危機にはやっぱお父さんが立ち向かわなければね。
え?
私お母さんとか認めてないし!うん、!!



叫んだ男の鋭い目は私から真壁へと移った。


あひゃぇ!
怖いよー!!



「む、確かお前達は内瀬達と仲がいいだろう?」
「はあ…まあ」
「どこに行ったか知らないか?」


「それなら帰りましたけど?」



「はあ!?帰っただと!!?」

何やこいつ。
と思ってサラリと言ってやるとその人は顔色を変えた。


そしてズンズカ私のほうに歩いてくる。



「ぇ…え…?」


思わず後退りしてしまう。
こここ…怖いよぉお!!!



男は私の目の前に来るとガシッと肩を掴みまた叫んだ。



「それは本当なのか!?嘘だろ!?頼むから嘘って言ってくれ!!!!」

「いや………まじですけど」


「なああ!!?」


彼は口をあんぐりと開けて6秒ほど私の顔を見ていたが、
言ってる事が嘘じゃないと分かると

「し…失礼した、」


と消えそうな声で言いながら図書室を後にした。





「何だったんだろうね」
「ぅ…ううん」


未だ驚きを隠せない真壁と私は、
彼が出て行ったドアをしばらく眺めていた。








変な人だった……
あの二人なんかしたのかな…?



今日電話で聞いてみるか。




うぅん、
でも何か今の人見た事があるような気もする…





「とりあえず…か、帰ろか?」
「だね、うん」





そのあとはすっかりそんな事も忘れて楽しくお家に帰り、
唐揚げが食べたいのを我慢しながら
にっころがしを作り、
真とテレフォンをしながら、


しょーもないドタバタな一日は幕を閉じた。





いつかの客
―End
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