一転

□いつかの客
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「グフ…グフフフ」


今日は委員会があって、
真達に一緒帰ろうって誘われたけど残念ながらお断りした。


私は図書委員に入っている。
今日はその当番で放課後に本を返しにくる生徒達の相手をしなきゃあいけない。



でも、あまり人が来ない。
からつまらなくて、
自分でこっそり学校に持ってきた漫画を読んでニヤニヤしていた。



端から見ればものすごく怪しいかもしれない。



でも好きなものを見るとニヤニヤしちゃうのは普通じゃない?



「うは、可愛いなあ…フフフ」
「怪しいよ、加奈ちゃん」
「うげ!真壁、!」
「うげってねぇ…」



そう言って苦笑いをするのは本を両手に抱えたお父さんという素晴らしい称号を持つ真壁朔也。


「あれ?真達と帰らなかったん?」
「うん、レポートまとめなきゃいけなかったからね」
「ああ、そうなん?」
「うん」


レポートかあ…
大変そうやなあ、


というか、
もうそろそろ時間だから
真壁を最後にピッとして終わろう。


「で、本返しにきたんよね?」
「あ…ああ!そうだった!」
「ほい。貸して」
「有難う」


ちょっとちょっと…
重たそうにはしてたけど、!
何この量!
辞書借りるって君…!
しかもこんなにいっぱい…!!

びっくらこいたよこれ。


「レポートで必要だったんだ」
「ふぇ?」
「この辞書」
「あぁ、そうなん?」
「うんそう」


いったいどんなレポートをまとめてたんだろう。
少し気にはなるけど、
中を開けてみるだなんてめんどい事もしたくないし、
ピッてして終わった。


「はい、終わったよ」
「ありがと」


そう言ってニコッて笑う真壁の笑顔はふわふわしててなんか和んだ。





……大きい犬みたい



ゴールデンレトリーバーみたいな……。



ってないない!!
何考えてるんだ私!!



私は二次元にしか恋はしない。



とか、
少し痛い事を考えながら気を紛らわせる。
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