一転

□勉強会
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「えー、今の説明分かりましたか?」
「はーいせんせー!」
「何ですか蘭太くん」
「ピッコロは何でペッコロじゃなくてピッコロなんですかー?」
「君そんなので先生の授業に参加しようなんて甘い!」
「勉強から逃げようなどと言う考えが甘い」
「あいたっ」
「智ー、祥がぶったー」
「見ました。暴力はいけないですよねまったく」
「ちょっと叩いただけじゃねーか!!」




―勉強会




それは一週間前の事。

「蘭太の成績がやばい」

と、祥がいきなり想真に言った言葉。

勉強を教えてやらなくてはいけない、
そのついでに想真と智も見てやるとの事。

当の二人は

「いや、そーゆーの足りてるんで」
「その優しさは全部蘭太さんに注いであげて下さい」

そう言って







逃げた。





せっかくの昼休みは、
勉強という嫌な二文字を賭けた本気の鬼ごっこで幕を閉じてしまった。


それが一週間続いた今日。
ついに捕まってしまったのだ。



現実から目を背けようと想真は漫画を追求するという名の授業を始めたが、
祥の手によって閉じられた。

頭の悪い蘭太は、
何の事か分からずとりあえず授業に参加する。



「兄貴、」
「ふぁ?」


何とも間抜けな返事。

初めて皆で笑った時のように屋上で円を作り、
その真ん中には勉強道具。

想真と智はいかにも嫌な顔をしている。


「つー事で始めんぞ」


そう言うと祥は蘭太に色々な問題を出す。



残りの二人は
その姿を見ていて可哀相だなあ、と思っていた。



が、



「はい、お前等の分」

「「えー、」」

「えーじゃねぇよ」



仕方ないなあ、
と頭をかきながら想真は筆箱から取り出しペンを握った。


絵でも描いてるんじゃないか、
と思うくらいにスラスラと進んでいる。


それを見て、
智も問題を解き始める。


更にその姿を見て、
怪しい笑みを浮かべる祥。


そして更にその姿を見て、
こんな顔もするんだと感動した蘭太。



変な集団だ。
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