◆◇Dream◇◆


□black cat
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χ・χ・χ・χ・χ



「クロ

 寝るぞ」

「クロは寝ない…」

「そうなのか?」

「ん…」

「まぁ良いや

 じゃぁ俺は寝るから」

「…窓…」

「窓?

 あぁ

 外出るのか

 自分で閉められるか?」

「うん…」

「分かった

 戸締りしろよ

 おやすみ」

「おやすみ…」



月夜に駆けてくクロを見送り

君尋は床に入った



χ・χ・χ・χ・χ



「…ん?」





目を覚ますと

いつもより温かい

布団の中



「…お前か…」



布団の中に

丸まった少女



「クロ」

「んっ…んん〜…」

「猫ならともかく

 人間の姿でそれをするか…」

「ん…」



寝ないと言った割には

グッスリと眠っていたクロに

笑みが零れる



「君尋…?」

「あぁ、学校行かないと」



君尋はいつもより早く

家を出たので

店に寄る事にした



χ・χ・χ・χ・χ



「侑子さん…

 何してるんスか…」

「二日酔い〜…」

「…俺が帰った後飲みましたね?」

「飲んだ〜…」



店に入ると

グッタリとした侑子

朝の温まった気持ちはどこへやら

一瞬で冷めてしまった



「帰りに液キャベ買って来ないと…」

「…(ピクッ)…!!」

「クロ?」

「すいません…」

「お客さん?

 こんな朝から?」

「…嫌な予感がする」

「侑子さん?」

「マル、モロ

 お通しして」

「はい主様〜」

「はい主様〜」



巻き込まれると

遅刻しそうなので

君尋は縁側から

店を出た



χ・χ・χ・χ・χ



「何かあったのか?

 あんな反応して」

「見えるのに感じない…

 変なの…」

「また変なの言ったな?」

「変だからな」

「ぅおっ!?

 百目鬼!?」

「…(ピョン)」

「…お前…

 そこがお気に入りか…?」



昨日同様

静の頭に乗るクロ



「何とかと煙は

 高い所が好き…」

「自分を何とかって言って

 良いのか?」

「クロも高い所好き…」

「あっそ…」



朝から

突っ込み続けるのは

疲れそうなので

それ以上突っ込むのは

止める事にした



χ・χ・χ・χ・χ



「おはよう

 四月一日君」

「おはよう!!

 ひまわりちゃん!!」

「おはようクロ♪

 百目鬼君も♪」

「あぁ」

「ん〜…」



ひまわりに撫でられ

気持ち良さそうに

目を閉じるクロ



「お前校舎は…」

「(ピョン)」

「あ、おい!!

 …何だ、木か…」



心配する君尋をよそに

木に飛び移ったクロ



「仲が良いんだね」

「侑子さんに預けられてるし…」

「お前が守られてるけどな」

「はぁ?

 何言ってんだよ」

「変なの見ないだろ」

「…そう言えば…」



昨日

夜道を歩いたのにも関わらず

一度もあやかしを見なかった



「あいつのおかげ…?」



木の上から

じっとこちらを見詰めるクロに

視線を向ける



「黒猫は

 大きな力を持つと言われてる

 管狐と同じだ

 力はそれ以上だけどな」

「そんなにすごいのか?」

「でも

 黒猫を見ると

 不幸になるって言うよね」

「黒猫に恨まれると

 そうなるかもしれない」

「適当だな、おい…」

(でも…)



どうやら

思っている以上に

クロはすごいらしい、と

君尋は何となく思った



χ・χ・χ・χ・χ
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