短編

□赤い糸を繋げて
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公園のブランコに座って、聴き慣れたメロディが流れる。
すぐ横に建っている青い時計を見上げた。
針が4時を指すと音楽が流れるそれは、同時に合図でもある。
それが流れてから少し待って、長い針が2を指すと

ほら!未央ちゃんが帰ってきた!


植木から上半身だけ見えた未央ちゃんを発見して、公園の入り口目指し走る。
しかし、入口を出かけたところで足が止まってしまった。
自分の頬が膨らむのがわかる。



「未央ちゃん!」



ちょっと怒った声が出てしまった。
くるっと振り返ったのは未央ちゃん。



と、もう一人の女の人。




「あー柚ー!ただいまー」


こっちに駆け寄ってくるとぎゅーっとしてから頭をよしよしと撫でてくれる。
すっごく嬉しいのに、嬉しくない。
だって、



「ねー未央。この子なーに?超可愛いんだけどー!」



この女の人、未央ちゃんにべたべたしてるし。
さっき手繋いでたし。
それに未央ちゃんもその女の人もなんだか嬉しそうに笑ってるんだもん!



「なんだか小さい王子様みたいな子だね」
「違うよ!あたし女の子だから王子様じゃない!」


髪の毛が短いからってすぐ男の子扱いするな!と内心思いながら、顔をその人から背ける。
女の人は慌ててごめんねと謝ってきた。
中性的だったから…と言われても、意味がわからない。
中性的ってなに?
未央ちゃんはわからなさそうだから、家に帰ったらママに聞いてみよう。

怒らせちゃったとか言いつつ笑いながら未央ちゃんに手を絡ませる。
なんだか、とても嫌な気分になった気がした。
この人好きじゃない!
あたしの未央ちゃんなのに……。

じゃあ、こーするしかない。
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