短編

□赤い糸を繋げて
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小さい頃、5歳ぐらいのことだ。
ブランコの立ち漕ぎは危ないからやめなさいとママに言われた。
いつもそれを無視して高い所から飛ぶようにジャンプし、笑顔でピースするとママの顔は鬼のような顔になる。
みんなには凄いねー柚稀ちゃん!とか、かっこいいー柚ちゃん!とまで言われたのになあ。
やめなかったあたしに、ママはいつも


「柚稀!未央ちゃんみたいな女の子はそんなことしないわよ」



と事あるごとに言っていた。











赤い糸を繋げて














未央ちゃんというのは近所のお姉ちゃんだ。

未央ちゃんは可愛い。
すっごく可愛いんだ。
さらさらの茶色い長い髪に目がおっきくて、いつも甘い匂いがする。
テレビに出ているアイドルより、あたしの友達より可愛い。
高校生の未央ちゃんはセーラー服がとても似合う。
スカートは短くてちょっと寒そうだけど。

あとね、凄く優しいんだよ!
未央ちゃんが暇なときはいつも遊んでくれるし、あたしがママと喧嘩したら一緒に謝ってくれたりしてくれるんだ。
そんな未央ちゃんがあたしは大好き。
大好きなアイスやケーキよりもっともっと好き!

ママも未央ちゃんが大好きみたいで家に来ると嬉しそうにしてる。
そして今のママの口癖は


「柚稀も未央ちゃんみたいにならなきゃね」





……未央ちゃんのことは大好きだけど。



それは絶対に嫌だ。
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