短編

□「N-B-K-B」namomoさん 看護師×事務員
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顔を上げていき西山さんじゃないことに気づき至近距離で正面から向き合うと
心臓が止まるかと思うくらい綺麗な人が目の前にいた
目とかくっきりはっきりな二重で大きくて瞳が茶色くて透き通ってて綺麗で
肌も白くてキメが細やかで、顔とかどっかの芸能人ですかと言いたいくらい小顔で均衡がとれていた

いやでも今はそれどころじゃない
一刻も早く謝んなきゃっ!!

私はばっと勢いよく体を離してから女性と向き合った
そして頭を下げる

「す、すいません!同僚と間違えましたっ!!」

「あ、麻紀と?」

「はい!そうです!!」

あれ?私下の名前言ったっけ?と思って頭を上げていくと微笑みながら立っている女性と目が合った
女性はくすっと笑った。それはもう見惚れてしまうような顔だった

「じゃあ、あなたが東 順(あずま じゅん)さん?」

「はい。そうですけど?えっと」

どうして私のこと知ってるんだろうって首を傾げたら女性はあ、ごめんねと言ってすまなそうに小さく下げて戻した

「私麻紀の姉で西山 咲(にしやま さき)って言います。つい最近麻紀の紹介でここの事務に勤め始めたんです」

姉!?似てないっっ
性格も物腰も態度も言葉使いも容姿もドS加減もなにもかもが違うっ
同じ遺伝子なはずなのにここまで違うものが生まれてくるもんなの!?
人間の神秘恐ろしい……っ

「お姉さん。西山さんにお姉さんがいたなんて知りませんでした」

「そうなの?私は麻紀から聞いてました。だから知ってるんです」

ふふっと笑うお姉さん
とても上品で女性らしい笑顔に見とれてしまった
でも私には1つの疑問が浮かんでいた
どうしてこんな深夜の時間帯に事務職の人がいるんだろうって
もう残ってはいないはずなんだけど

「あの、どうしてここに?」

「麻紀に用事があったんです。私まだスペアキーを持っていないのをすっかり忘れてて」

罰が悪そうに困ったように眉を寄せて笑う
そんな顔が可愛いと思った
そしてどうしてだろうか、すっごい心臓が早く動いてる

「実家に戻って少し残っていた荷物を取って帰ってきたらキーがなくて部屋に入れなくて」

「あ、それでここに」

「はい。私、昔から抜けてて駄目ですね。肝心な物忘れてしまって」

本当は麻紀からキーを受け取ってから帰る予定だったんですとお姉さんは言った

そのセリフに、罰がわるそうな顔

やばい可愛い

西山さんのお姉さんっていうことは私よりも年上
でも全然可愛い、もう一回抱きしめたいほどに

トゥルルルルル
トゥルルルルル

なんてお姉さんに見惚れていたら意識がいきなり現実に戻された
ナースコールが鳴ったのだ
だから私は慌てて受話器の前に移動してどこの部屋が点滅しているのか確認したのだった
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