短編

□「N-B-K-B」namomoさん 看護師×事務員
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学校を卒業して看護士になって4年
それなりに経験も積んできているし、立派?に先輩として後輩も教えたりもしてる
勉強だってしてるし欠勤したことだってない

でも

もう27歳だというのに未だ私は夜勤が好きじゃなかった
先輩も後輩も、もう全然気にしていない人が多いのに私は全然駄目だった

幽霊とかさ……怪奇現象とか……

だからお願い私をナースセンターに一人にしないでえぇええっっ

「西山さんっお願いだから行かないでっ!!」

目の前の女性は西山麻紀(にしやま まき)と言い白いズボンタイプのナース服を着ていて長い黒髪を後ろで一本に結んでいた
その顔は気が強そうで、いや実際強いんだけど、とにかくずばっとはっきりした人
でも目とかきりりとしていて美人、きっとマゾな人はこんな人に罵られたら嬉しいんだろうと思うような威厳があった

でも私はマゾじゃないから今この試練には耐えられないかも

「うるさい。いい加減にして」

必死の懇願が見事に却下された
悲しくて泣きそう

「そんなっ!!同期のよしみで聞いておくれよぉ」

よよよと西山さんにもたれかかると一瞬で押し戻された
物凄くうざったそうに
引っ付くんじゃねーよ。このメス豚がっっ!!っていうような冷徹な視線だった

いつも西山さんは私にだけ冷たい……どうして?って昔聞いたら、うっとおしいからと一刀両断された。悲しい

でも西山さんとはお友達でよく遊びにも行ってる
ほぼ無理矢理私がついていってるだけだけど……あ、泣けてきた。その現実に

「夜回り行ってくるから。ナースコールきたら出なさいよ」

「いーやーだー」

「うざい。いい加減慣れなさいよ。もう4年経ってるんだから」

「でもぉ怖いものは怖いんだもん」

「もんとか言うな。気色悪い」

「酷いっっ。私外見だけは良いねって合コンで言われたよ!?」

付き合いで参加した合コンで話した男性に外見は良いねって大体言われる
髪は軽いボブでブラウンに染めててパーマをかけてふんわりさせて
化粧はナチュラルくらいにしかしない、でも自分が言うのもなんだけど目は割りと大きいし
まつげも長いからそこまで激しくなくてもいいかなって自分で思ってる
あくまで自分では……だ。でもけなされないからそれなりには良いんだろうとも思っていた

「その言葉の真意を読み取りなさいよ。馬鹿じゃない?」

私に言葉というボディーブローをかましてから西山さんはスタスタとA棟の方へ移動していった
私のことは打ちのめしたままアフターフォローもしないで一人ぽつんと置いていってしまう

泣けてきた

「ううっ……怖いよぉ。お願いだから鳴らないで」

別にちゃんと人が居る病室から鳴る分には、そこには人がいるとわかってるからいいんだけど
たまに……その、誰もいない病室から鳴るから嫌なの

先輩は、あ、またあそこ?とかまた鳴ったの?くらいにしか反応してくれないし
最初は怖がってた後輩も慣れてきて先輩みたいな反応しか返してくれないし

どうして皆そんなにタフなの!?私にその根性分けてって言いたいくらい私には根性が無かった。こと幽霊に関しては

他のことなら頑張れるのにこういうのは苦手

一人で落ち込んでいたら廊下からコツコツと誰かがくるような足音が聞こえてきた
もしかして西山さんが私のこと哀れに思って早く見回ってきてくれたのかと思って私の表情は一気に明るくなったと思う

「西山さんっ」

それはもう十数年ぶりに再会した恋人のように足音の方に少し駆け足で向かっていった

「大好きっっ」

大好きの声と共に確認もしないで抱きついた

「え?」

「私の為に見回り早く終わらしてくれたなんて!もう大好き」

「あ、うん」

あれ?いつも抱きついた瞬間容赦無しに引き剥がすのに今日の西山さんはそれをしてこない
いきなりどうしたんだろうって思って私は顔を上げて西山さんのことを確認していた
そして顔を上げていくと、その人が西山さんじゃないってことがわかってきた

目線も私と同じくらいだし、西山さんは背が高いから私と同じ目線てことは有り得ないし
それによく嗅ぐと西山さんとは匂いも違った
香水なんていう匂いじゃないけど、何だかふんわりしていて甘い
それに髪も違う、西山さんは黒髪だけどこの人は少し明るいベージュで髪がふんわり巻かれていた
しかも声も思い出してみると西山さんより高い、西山さんはハスキーボイス
この人は少し高くて女らしい可愛らしい返事だった
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