短編

□半径50センチメートル カラメルな日々
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顔が間近に迫る中、目の前のものを軽く睨みつける。
口元に迫るスプーンの上には、つばさ特製の手作りプリン。
つばさは甘いものが大好きなため、よくお菓子作りをする。
でもそれはレシピより少し…、いやかなり甘い。
甘いものが苦手なあたしは、毎回作るたびに逃げていた。
…結局最後はこうして捕まるわけだけど。
食べないと後が大変になるっていうのもあるけど、恋人の前に腐っても幼馴染。
行動パターンはお互い知り尽くしてる。
だから、あたしがこうしてるのもつばさにはお見通しってことで、あたしも頭のどこかではわかっている。
つまりこれは一種のじゃれあいってやつで。


…え?
最初の馬乗りのやつはなにって?
変な期待させるなって?
というか、あたしもエロい展開のがたまには良かったりー…とか思っちゃったり、なんて。



「つばさちゃんは今回、恵用に甘さかなり控えた焼プリンを作りました!」
「…焼プリン?」
「そう!大好きな焼プリンだよ」

ぱちぱち、拍手を送るあたし。
満更でもなさそうな顔でつばさは腰の上から少し下がり、あたしを起き上がらせる。
あたしの腿の上につばさが座り、向かい合う形に。
無邪気なあーんという声に誘われて口を開く。
ゆっくりとなめらかなプリンが口に入ってくる。
カラメルソースがちょっと甘くて、ほろ苦い。


「…美味しい!」
「ほんとに!?」



つばさの手からスプーンを取り、自分で食べる。
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