短編

□羊の皮を被った意気地なし
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ソファですやすやと眠る妹。
妹といっても、義理の妹なんだけど。
今日もバイトで疲れたのだろうか、ほっぺたをつついても起きそうにもない。
一瞬ためらいながらも、寝息を確かめ唇に触れるだけのキスをした。




「…好きだよ」









羊の皮を被った意気地なし








寝込みを襲うような真似をして数か月。
もう日課となっていた。
いけないとはわかっているけど、触れてしまうのはなぜだろう。
真っ赤な顔をして、涙目になりながら同じことを繰り返してしまう。
…あたし、最悪だよね。
ソファの空いているスペースに座り、少し長めの前髪をはらってやる。
色素が薄いからか、肌は白く髪も茶色い。
まつ毛は長く、小さい唇が少し開いている状態のその姿は、またキスをしたくなってしまう。
駄目!駄目だから!!と心の内で叫びながら、頭をぶんぶんと振る。
どーしよー…なんでこんなに…。




半年前に私の父と、妹、いや、陽奈ちゃんのお母さんが再婚。
あたしは大学1年生、陽奈ちゃんは高校2年生。
父が再婚すると聞いて驚いたが、特に反対する理由もないのであっさり承諾。
しかし、高校生の女の子が妹になると聞いたときは少し不安に思った。
仲良く出来るのかな…ギャルだったら困るかも…。
いやでも、ギャルは良い子って聞いたことあるし大丈夫かな!?
とか、一人でもんもんとしていた。
だけどそれは、初めて会ったときにはあたしの頭からはぶっ飛んでいた。
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