短編
□半径50センチメートル
3ページ/6ページ
「ちなみにーあたしがデザート?それともめぐ?」
無邪気な笑顔でさらっと朝から凄いこと言ってくる。
つまりはもうそういう関係で、世間一般でいう恋人同士。
つばさは黙っていれば可愛い、間違いなく絵本に出てくるお姫様のように。
お姫様といえば、ああ。
右手をぐっと引っ張って顔を近づけ、前髪にキスをする。
「めっ、めぐ!!!」
「つばさがさっき言ったんじゃん?」
あたしがきょとんとした顔をしていたのか、つばさは顔を真っ赤にしてバカバカバカ!と小さい声で言う。
「そうだけど!ここ通学路!てか天然にもほどある!!」
「天然ねー。よく言われるけど、つばさも自分で言った言葉には責任持たなきゃー」
へらへら笑うあたしは、繋いだ右手を軽く引く。
バカっと言いながら顔を上げないつばさ。
自分で言ったのに…つばさもバカだねーと笑ってしまう。
自分から爆弾発言しておいて、あたしが何かするとすぐ真っ赤に照れる。
昔から変わらない。
そんなところが面白くて、可愛くて。
「あのっ!!!!吉井さん!」
いきなりの声に、思わず二人してびくっとする。
もしかしてさっきの…見られた?
でもその表情から察するに、そうではないらしい。
同じ高校の男子の制服を着ているその人は、確か隣のクラスの…誰だっけ。