短編
□半径50センチメートル
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何十年も前から決まってる。
あたしの隣は君がいて、君の隣にはあたしがいる。
半径50センチメートル
「めぐーおはよーのちゅー」
「えー?あとあと」
「って…おいてくな!てかそれ絶対嘘でしょ!」
我が家の前で待っているそいつは、吉井つばさ。
あたし矢沢恵を毎朝待つのが日課。
セミロングのさらさらの髪を揺らし、後ろから抱きついてくる。
いつものやりとりなので気にすることなく歩く。
つばさもあたしに引っ張られる形でずるずると歩く。
「あ、そうだめぐ。お母さんが今日晩ご飯うちで食べてくよう言ってたよ」
「ほんと?おばさんのご飯美味しいから楽しみ」
物心ついたらときから、つばさはあたしの隣にいた。
昔、あたしが産まれる頃、つばさの家の隣に越してきたらしく
あたしの母とつばさの母は、同い年の娘がいるという共通点ですぐ仲良くなったそうだ。
必然的にあたしはとつばさは仲良くなり、常に一緒にいるようになったんだけど…
仲の良さは昔からちょっと度が過ぎている。
もうピュアな関係ではないってこと、といえばそうなる。
あたしの5歳の誕生日に、ファーストキスをつばさに奪われ
今でもお風呂には当たり前のように入ってきて、寝るときも二人で一つのベッドに寝る。
そして