ハネモノ
□4話、家庭教師
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あたしの悪いくせは、短いスカートでどこにでも座ること。
昔から母さんに怒られたが、未だにそれは直らない。
ひんやりとしたコンクリートの壁にもたれて座って、好きな音楽を聴く。
人を待ってる時間が、あたしは結構好き。
「ごめん!ちょっと待たせちゃったね」
この人に待てと言われたら、きっと何時間でもずっと待っている
(気がする)
家庭教師
あたしと夕季先輩は、学校帰りによく4人で来る喫茶店にきていた。
気持ちの良いジャズのメロディが流れ、建物や備品も木で作られている。
適度に話しやすいこの空間が、先輩達に連れてきてもらってからすぐ気に入った。
一番角の離れたところに座ったあたしたちは、先輩はアイスコーヒー、あたしはカフェオレを頼んだ。
ちょっと待ってねと言われ、夕季先輩は数学の問題集をパラパラめくって、ノートに何か書いていく。
5分ぐらいしてペンの動きが止まった。
ドキッとするくらい満面の笑みであたしを見上げる。
「はい!これから抜き打ちテストしまーす」
「あ、わかりま、、、はあ!?テスト!??」
思わずあいと接しているときの態度が出た。
まさかのいきなりのテスト。
そりゃ思わず先輩相手でも素は出る。
「だってどれぐらいやばいのか知っとかないとね」
「全部!全部だからテストやる必要ないです!!!」
「はじめちゃん」
先ほどと変わらない満面の笑み。
ただ一つ違うのは威圧的な何か。
あは、あはは…テストやらせていただきまーす…、と乾いた声が出た。
10問くらいの先輩お手製のテストは30分くらいで終わった。
結果は4問正解と微妙のところだけども。
夕季先輩はあたしと答案を見比べている。