教科
□私を見て
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校舎裏でうずくまって泣いている1人の男子生徒。カタカタと肩を振るわせ、しゃくりをあげて泣いている。
「…兵助…」
「…悪ふざけはよせ、三郎…」
真っ赤な目で私を向く。怒った表情で睨みつける兵助。
「お前は…ハチじゃないんだ…」
「…私じゃ駄目なのか?」
「…ごめん…」
膝を抱えてまた泣き出す兵助。ごめんが悔しくて奥歯で歯軋りする。
「兵助…」
パシン──
「触るな!」
腕を掴もうとしたら、拒絶された。
「"お前"に今触られたら、壊れてしまう…」
「壊れて…いいんだ…」
ギュッ
無理矢理兵助のか細い体を抱きしめる。兵助は必死に抵抗するが力尽きたのか抱きしめられるままになった。
「ズルいよ三郎…ズルい…」
ズルくてもいい
お前が別な人を見ていてもいい
お前の目が
私の顔を見ているなら
(恋は人を狂わせる)
(私も狂った一人さ)