進んでゆく物語

□設定+α
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「――じゃあ次の問題を、悠木」
「……………」
「悠木ー」
「…………」


数学の授業中、私は絶賛お休みタイムだった。



意識の無い私は突然先生に当てられ、一応目は覚めたのだが、
脳は覚醒していない
従って、起きる気力もない。

教科書を立てて机に突っ伏しているので、
私が寝ていることを先生が気づいているのかどうかは分からない
…大体のクラスメートは気付いていると思うけど。


「おい、悠木ー」
「…はい」

そろそろ返事をしないと寝ていたことがバレそうなので、一応返事はしておく
しかし、また沈黙。

というより、今どの問題の答え合わせをしているのかが分からない。


あ、困ったなー



返事をしたは良いがまだボーッとしている私を見かねたのか、
沈黙に耐えきれなくなったのか、
先に口を開いたのは先生だった


「…悠木、問題集214番の答えを言ってくれ」
「あー、√2+5です」
「正解だ」

先生ありがとう。
問題をいちいち言ってくれて助かったよ


パチパチと拍手が起こる

何でこれだけの事で拍手なんだ。
小学校の授業参観じゃあるまいし
しかも、拍手されんのって私の時だけじゃない?

いつも私が答えると拍手起こるよね。




…何なんだ、一体。


私は鬱陶しげに教室を見回して席についた。

ちょっと気恥ずかしいんだよコレ。
分かってやってるのか、クラスメート達よ


何故だかを確かめたいが、私には気軽に話せる友達と言うものが一人しかいないので
確かめられる可能性は低いわけだよ。

その一人も、何故かたまに顔をそらして「心臓に悪いからやめろ」と訳の分からないことを言ったりする




何故だ、というよりも

なんなんだ、友よ。



その友以外は私が話しかけるとダッシュで逃げるので、結構ショックだったりする
そんなに嫌なのか、私が。


そんなことを思いながら
ふと、時計を見るとまだ授業時間が四十分ほど残っていた
なんとなく授業が面倒になったので
適当に理由を着けて教室を出ていくことにした。



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