狂詩曲−rhapsody−

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「この後、空いてるか?」


サンダーランドが問うと、ショーは微笑んで頷いてから
差し出されたサンダーランドの手をとった。



「そうか、では俺の部屋で茶でもどうだ?」


彼とショーが二人でゆっくり話したいときに使うのは決まって彼の部屋だった。


「いつもあなたの部屋じゃない、今日は別のところが良い」


ショーがわざと不満そうに言うと、サンダーランドは困った表情をして言った。

「別のところと言っても、俺はあまりハチノスから出たくないのだが…」

「あら、我が儘ね。だからモテないのよ」

「別に俺はモテなくても構わない」


ショーにそう言いながら、サンダーランドは心の中で
ショーからの好意さえあればそれで良い、と付け足した。


「またそんなこと言って。そんなんじゃ結婚どころか彼女も出来ないよ!」

「なっ……。」


サンダーランドが微妙な表情をして固まったのでクスリとショーはまた笑った。


「なーんて。嘘だよ、きっとあなたになら素敵な人が出来る」


ショーがそう言うとサンダーランドは
そうか、と一言だけ言ってショーから目を逸らした。


「それで、場所はどうするの?」


ショーが反れた話を戻した。

「ハチノスから出たくないんでしょう?」

「まあな」

「じゃあ私の部屋はどう?」


軽い調子で言ったショーの提案に、サンダーランドの肩がピクリとした。


「……いい、のか?」

「サンダーランドさえ良ければ構わないわよ?」

「俺も別にそれなら良いぞ」


サンダーランドはショーとの付き合いはまあまあ長いが
ショーの部屋へまでは行ったことがなかった。

思いを寄せる女の部屋へ入れるという嬉しさが彼の心を支配した。
しかしサンダーランドはそんなことを全く表情に出すまいと短く咳払いをした。


「じゃあ、決まりね!」

ショーはサンダーランドの同意を得ると
早く行こうとばかりにドアへ駆けていった。

そんなショーにサンダーランドが声をかけた。


「ここを片付けたら行くから、ショーは先にいっててくれないか」

「りょーかい、待ってるね」

「ああ」



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