狂詩曲−rhapsody−

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「…そう、ですよね」


ゴーシュは目を伏せた。
長いまつげが影を作る。


「ごめん。ゴーシュ」


二人の間に、しんみりとした空気が生まれた。


「よし!じゃあ、行きますか!」


ショーはそんな空気を吹き飛ばそうと止まっていた足を再び動かした。


「そうですね。集荷と配達は早い方がいいですし」


ゴーシュもそれに便乗して微笑んだ。





ユウサリ地方とヨダカ地方を結ぶ橋、ビフレストは
政府が発行している通行許可書がなければ渡ることはできない。

その通行許可証を二人が持っていないはずはなく、門番にそれを見せゲートを通過する。


「ショー……」

「ん、何かしら?」

「そんなに端を歩くと落ちますよ。」

「……ショー様、落ちます」


ゴーシュの注意に同意するように
ずっと黙っていたショーのディンゴであるシャルが言った。


ロダもショーの制服の裾を引っ張る。


「もう!わかったわよ。真ん中によればいいんでしょう?」


半ば自棄(やけ)になって言ったショーに、
シャルがそれで良しというように頷いた。

ビフレストはもともとそんなに大きくはないので、すぐにヨダカへと着いた。


「着いたわね。何年ぶりだろう……ヨダカなんて」


ショーはしみじみ言った。


「こちらの方への配達はあまり無いのですか?」

「ええ、ここ数年はユウサリの速達ばかりだったから」



ショーとゴーシュは互いに他のBEEより配達で忙しい日々を送っているため、会って話をすることは少ない。
しかし長い付き合いであるため、互いの事はよく理解している。

ゴーシュもショーも、これからしばらくは会えなくなることが寂しかった。



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