狂詩曲−rhapsody−
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「一緒に来てくれませんか?」
ゴーシュは真剣な表情でショーを見た。
ショーはきょとん、として答える。
「ん、良いわよ。私もそのつもりで来たんだし」
「ホントですか!?」
満面の笑みでゴーシュが叫んだ。
「そんなに喜ぶこと?でも集荷先が違うから途中で別になっちゃうわ」
途端、ゴーシュから先程までの満面の笑みが消え失せる。
しょぼん、と効果音がついても良いようなくらいに顔を俯かせる。
「どうしたの、ゴーシュ?」
ショーはゴーシュを心配して声をかける。
「あ、ああ、いえ。何でもありません」
「そう?なら良かった」
「でも、ショー・ショコラ…僕が一緒に来てほしいのは配達に、じゃなく首都にです。」
「首都に…?」
ショーは眉を下げて聞き返した。
次第に二人のビフレストを渡る足の速度も遅くなっていた。
「僕、本当は怖いんです。もちろん首都に行けるのは嬉しいのです。けれど、シルベットやアリア、そしてショー……君や他のハチノスの仲間と離れるって思うと…」
ゴーシュの瞳は揺れ動いていた。
それを見たショーの足は、ついに止まってしまった。
ショーはこれ以上不安そうなゴーシュが見たくなかった。不安にさせたくなかった。
「……私も、出来ることなら首都にいきたいな」
そう呟いたショーの手を、ゴーシュが握った。
「ゴーシュ……」
「ショー、僕と首都へ来てくれませんか?」
ショーは少し考えるそぶりをした。
しかし、首をゆるゆると振った。
「ごめんなさい、ゴーシュ。やっぱり行けない。」
「どうして……っ」
「私までいなくなったらシルベットはどうするの?それにまだここでしたいことが沢山あるの。そりゃあ、首都も魅力的だけど……私の大切な人は、ゴーシュだけじゃない。」
ショーの最後の言葉は、ゴーシュに堪えた。
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