狂詩曲−rhapsody−
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「……」
「どうしたの?」
何も言わないゴーシュの変わりにアリアが返事をした。
ショーはアリアとゴーシュを交互に見ながら口を開く。
「次の配達が終わったら…ゴーシュは首都に栄転だったわよね」
「そうですよ」
「ええ、確か」
その場の空気が微妙に変わった。
「ゴーシュ……」
アリアがすがるようにゴーシュを見た。
「寂しくなるけど…ゴーシュ、頑張ってたから。おめでとう!」
「ありがとうございます」
頑張って笑顔を作るアリアにゴーシュは少しだけ微笑みながら返す。
ショーは二人のやり取りを黙って見ていた。その瞳にはうっすらと涙があったが、決して流すまいと堪えていた。
「まあ、一生会えなくなる訳じゃないからね!しばしの別れってことで」
アリアが明るく言った。
「そうね。頑張ってよ、ゴーシュ」
「ええ、ありがとう。ショー・ショコラ」
そこでようやく、その場の雰囲気が先程までのおめでたい空気になった。
三人はそのまま自分達の家路についた。
仲間のいなくなる寂しさと、新しい生活への期待や不安、色々な気持ちが三人の心のなかを支配した。
――そしてその三日後。
ゴーシュは最後の配達のために、家を出た。
「ゴーシュ!!」
「…っ、ショー……」
あとすこしでビフレストにつく頃、ゴーシュはショーに呼び止められた。
少し驚いた様子でゴーシュはショーの名前を呟いた。
「ショー…どうしてここに?」
「私も配達なのよ。ユウサリじゃなくヨダカの方にね」
「そうだったんですか。…ショー、あの…」
何やら口ごもるゴーシュに、ショーは急かす。
「どうしたの?」
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