彼等の中心は彼女
□02
1ページ/3ページ
神様に愛されてるのは私。
だって“テニスの王子様の世界にトリップしたい”っていう私の願いを叶えてくれたんだもん。
しかもトリップ特典までつけて!
やっぱり私は可愛いから神様にだって愛されちゃうのよね、全く罪な女。
せっかくトリップしたからには逆ハーを狙いたい。
だから私は、大好きなキャラのいる学校に通うことにした。
今日はその転校初日。
そう、私は忍足くんのいる氷帝学園に転校したことになってる。
「すみませぇーん。職員室ってぇ、どこにあるんですかぁ?」
「え、あ、職員室は――……」
とりあえず、そこら辺にいた男子を呼び止めて職員室までの道を聞いた。
私と話してるとき、一回も目を合わせてくれなかったのは
きっと私が可愛すぎて照れてるからよね!
るんるん気分で廊下を歩いていたら
途中で長太郎を見たけど絡むのは後でいいよね。
そう思って、教えられた通りに進むと職員室についた。
「あのぉ、今日転校してきたぁ家城祐奈でぇす」
ガラガラと職員室のドアを開けて、
精一杯可愛い声で声をかけたら殆どの先生たちがこっちを見てきた。
流石私!神様に頼んで可愛くしてもらったんだもん。
注目されないはずがないわ!
ここで榊太郎の目に留まればマネージャーになるのは楽勝になる。
そう思って榊を探すと、ここにはいないみたいだった。
なんだ、可愛いく言って損したわ。
「ああ、貴女が家城さんね。私は貴方のクラス担任の安堂。よろしくね」
「はぁい、よろしくおねがいしまぁす」
担任は女だった。まあ、別に良いけど。
.