刀剣乱舞

□一緒に休息を
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「薬研君、薬研君」


「おっ、どうした大将。俺っちに何か用か?」


「甘いものはお好きですか?」


「んー、まぁ そうだな」


「じゃあ コレあげます。1瓶しかないので食べてね」


「1つしかないなら大将が食えばいい。大将、甘いもん好きだろ」


「ううん。薬研君に食べて欲しいの」


「俺にか?因みに中身は何だ」


「金平糖だよ。この前 皆にあげたお菓子、弟達に渡して薬研君の分が無かったでしょ?だから」


「あー…何だ知ってたのか」


「薬研君が渡せば、一期さんが貴方に渡すからキリがない」


「はははっ、いち兄もお人好しだからな」


「薬研君は一期さんに似て優しいから。勿論、粟田口の子は皆ね」


「兄弟を褒められるのは嬉しいもんだな」


「あと我が儘を言ったり、甘えたり、弟達を優先するところも一期さんそっくり」


「そうか?自分では そんな気はしないんだがなぁ…」


「そういうの、ちょっと寂しいんだよ?頼りないのかなって思って。まぁ、実際に頼りないんだけどさ」


「そんなことねぇよ。大将は頼りになる。だから俺達は側にいるし、大将について行くんだ」


「……本当に男気全開だよね薬研君って。小さいのに」


「確かに体は小さいが、これでも力はあるんだぜ?何なら試してみるか?」


「えっ?うわっ…!」



肩を軽く押せば簡単に大将の体は傾いて、更に追い打ちをかけるように両腕を押さえ込めば 驚いた顔をして目を瞬かせた



「なっ?」


「あー、驚いた…」


「これでも男だからな。油断してちゃ食われちまうぞ?たーいしょ」


「っ…!」



耳元で囁けば肩がピクリと跳ね上がる。鶴丸の旦那じゃねぇが確かに人の驚く反応は面白い



「どうした大将。顔が真っ赤じゃねぇか。熱でもあるのか?」


「あっ、いや…だ、大丈夫。大丈夫だから…」


「大将、嘘はいけねぇよなぁ…?」


「ほ、本当に大丈夫!その…恥ずかしいから離してくれる、かな…?」


「……大将」


「は、はい」


「さっき俺が甘えてくれないから寂しいって言ってたよな?」


「…………………………。」


「大将」


「い、言いました!」


「じゃあ今 甘えてもいいのか?」


「…今ですか?」


「甘えれば大将は寂しくないし、俺も休むことが出来る。一石二鳥だろ?」


「えっとー…」


「大将、駄目なのか…?」


「ひっ…分かった!分かったから それ止めて…!」


「ん、どれだ?ちゃんと言葉にしねぇと伝わらないだろ。折角 伝える口があるんだ、そうだろ 大将?」


「うぅっ、耳元で喋るのを…ッ…や、止めて頂けないでしょうか……!!」


「はははっ、林檎みたいだ」


「もう…鶴丸さんとも似てるのか君は……心臓がもたないわ…」


「悪い悪い。大将があまりにも可愛い反応してくれるから つい、なっ?さてと…そんじゃ失礼するぜ」



腕を引っ張って体を起こしてやってから大将の足に頭を乗せ、そっと目を閉じる



「ん、なかなか良いもんだな。心地がいい」


「おお…薬研君が甘えてくれてる…」


「大将が望んだんだから、気が済むまで付き合ってくれよな」


「はーい」


「よし、いい子だ」


「どっちが主か分かんないな…」


「なぁ、大将」


「ん?」


「悪いんだが、暫くの間このまま寝ちまってもいいか」


「あ、うん。どうぞ」


「悪いな、助かる」


「おやすみ薬研君」


「ん…」



頭を撫でる手付きが優しくて、無意識に反対の手を握っていた


突然のことに驚いたのか一瞬、動かしている手が止まったが直ぐにまた頭を撫でる手が動き出す



「…大将」


「んー?」


「こうするのも、偶には悪くねぇな」


「でしょ?」



薄らと目を開けると嬉しそうに笑顔を浮かべる大将の顔が見え、指を絡めるように手を繋ぎ直すと、ゆっくりと瞼を閉じた


――END―――

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