刀剣乱舞

□寝言
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「…また こんな所で居眠りとは……主、起きて下さい。風邪を引いてしまいますよ」


「んん…」


「主、休むのでしたら布団を用意するので そちらでお休みください」


「…お兄ちゃん……まだ眠い…」



思わず肩を揺らす手が止まった。目を瞬かせていると主の瞼がゆっくりと持ち上がり ゆらりと視線が交わった



「お、おはようございます」


「……………………。」


「主?」


「…ッ……ご、ごめんなさい…!私…その…!!」


「いえ、お疲れなのでしょう 今すぐに布団を敷くのでゆっくり休んで下さい。夕餉の前に起こしに参りますので」


「あっ、もう大丈夫です!それより…私、何か寝言を……」


「えーっと…」


「言っちゃったんですね!?ああああ、変なこと言ってませんでしたか!?」


「そんな可笑しなことは言ってませんでしたよ。たった一言だけでしたし」


「ち、因みに何と…?」


「その…"お兄ちゃん" と」



そう告げると主の顔が一気に赤くなり両手で顔を押さえ 隠れるように膝を抱いた。



「主には兄上がいらっしゃるのですか?」


「そ、そうです…ああああ、本当にごめんなさい!」


「なぜ謝られるのです?」


「一期さんのこと、寝惚けて兄と間違えてしまって…!起こし方がどことなく兄と似ていたので…!」


「………私を、主の兄上と…?」


「はい…」


「…ふっ…あははは……!」


「わ、笑わないで下さいよ!」


「申し訳ございません…はははっ…!」


「もう…穴があったら入りたい…」


「私を主の兄上代わりにして頂いても構いませんよ?」


「そんなの無理ですよ…恥ずかしくて呼べません…」


「弟達のように私を呼んでいる主も見てみたいですな」



視線を泳がせてパタパタと手で扇ぎ熱を逃がそうとしている主を見て また笑みを浮かべる



「一期さん、さっきの忘れて下さいね」


「はい、畏まりました。ですが…」


「ですが?」


「私のことは兄ではなく、男として見て頂けると嬉しいです」


「えっ?」



笑みを浮かべながら彼女の頭を撫でると、ゆっくりと立ち上がる。


ぽかんと見上げる姿が可愛らしくて思わず笑ってしまった



「主、弟達には どうかご内密に」



人差し指を自身の唇に当てて微笑む。


彼女はようやく理解したのか、薄らと涙を瞳に浮かべながら顔を真っ赤に染め何度も頷いた


ーーENDーーー

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