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□揺るがない覚悟
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「あいひゃー…すっげぇ!えーしろー!雪降ってる!めずらしいさぁ!」





「はぁ…分かりましたから静かにしなさいよ」





「わん初めて見たー!!」





「人の話を聞いてませんね…」





「でーじちゅらさんやー! (すげぇ綺麗!)」





「(犬…)」





「なっ?永四郎!!」





「ッ……!?」







馬鹿みたいにはしゃいで……幼い子供みたいな笑顔を向けた彼に、少し動揺して俺は彼に背を向けた







「えーしろ?」





「な…何でもありません」





「しんけん(本当に)?」





「しんけん」





「………………………。」





「甲斐クン…?どうかしましたか?」





「永四郎!しにひーさん! (すげぇ寒い!)」





「ちょっ…やめ……!」







急に抱き着いてきて、服の中に滑り込まされた手が、腹を弄るように当てられた







「くッ…!やめなさい、!」





「あ〜…あったけぇ……」





「こら…ッ、!」





「えーしろー可愛い…」





「何、馬鹿なこと…を、!」





「耳真っ赤になってるさぁ」





「いい加減にしなさいッ!」





「あがっ!?」





「はぁ……まったく…」





「ぬーするんばぁ…」





「それはこっちのセリフでしょう!そんなにゴーヤが食べたいの!?」





「げ…ゴーヤだけは勘弁!あっ、でも!」





「……何です」





「永四郎とちゅーしたい!」





「はッ?馬鹿ですか貴方は!」





「ならんばぁ(ダメ)…?」





「ッ……勝手にしれ…!」





「じゅんにか(マジか)!?」





「もう黙りなさいよ、!」







最早やけくそで甲斐クンの唇を塞ぐと、彼は真っ赤な顔をして、口をパクパクと動かした







「な、なッ……!」





「ッ……」





「永四郎しちゅんッ!!」





「ばっ、声が大きい!」





「なぁなぁ!えーしろ!」





「何です…そんなに大きい声出さなくても聞こえていますから……」





「もっかいしたい!」





「………は?」





「もう一回ちゅーしたい!お願い!」





「……後でゴーヤ5本は食べてもらいます」





「ええぇえ……うー…」





「それが嫌なら「分かった!食う!」なッ…!?」





「食ったら永四郎とちゅー出来るあんに!それなら、わん我慢するさぁ!」






「……はぁ…」





「ん?」





「はいはい負けましたよ。好きなだけどうぞ?」





「じゅんに!?ゆくしじゃあらん(嘘じゃない)!?」





「当たり前あんに」







喜びながら抱き着いてくる姿が犬みたいで、嬉しそうな顔して俺を見上げた







「へへっ!」





「かなりアホ面ですね」





「ひでぇな永四郎!」





「そのわりにヘラヘラしてますけどね」





「おわっ、」







ふわふわの髪を撫でると、目を細めて、俺の手に頬を擦り寄せた







「1回につきゴーヤ1本ね」





「あい!?」





「…1回5本がいいの?俺は別に構いませんよ」





「1回1本で!!」





「それは残念ですねぇ」





「だって苦いし…永四郎の作ったのは特に苦い」





「美味しいのに」





「勘弁ッ!」





「はいはい」






コロコロ表情を変える彼の背中に腕を回すと、そっと唇を塞いだ






― END――
 

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