☆手が届いたら

□ACT.9
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「で…ここがこうなると、さっきの公式が役に立って、全てを…代入していくと……」


静まり返る教室内に克の凛とした声と寝息の聞こえる中進んでいた授業が止まった。

克は寝息を立てる張本人を呼び起こすが、夢の住人になっている本人には全く届かない。


「…き、勝…」


呼んでも呼んでも起きない勝希に克はとうとうしびれを切らした。

ビュッ!!ぷすっ モサッ

ビュッ!!ぷすっ モサッ

克は勝希を起こすため、寝息と共に揺れるアフロにチョークを投げた。

必然的にそねチョークはアフロの中に収まりモリモリとアフロの中に埋まってしまい、何の刺激にもならない。


「勝希君!勝希君!」


見かねた広太が後ろの席から揺り起こす。


「んぁ〜?…」


勝希の目の前にはいつの間にか近寄ってきた克がもの凄い形相で立っていた。


「起きた?」


「あい。とぅいまてん」

「じゃ、授業続けるよー」


いつも寝てしまって怒られる勝希はふとおかしな事に気付いた。


めっずらしー。楓も毎度毎度怒られんのに。
起きてんの?


気になって仕方ない勝希は身を乗り出し前の席の楓を見ると…目を開け白目を剥けながら寝ていた。


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