☆手が届いたら
□ACT.3
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カチャ…。
朝5時と言っても早い寮生徒は起きているかもしれない。
そっとドアを開け周りを見渡し猛ダッシュで寮から海へ駆け出して行く。
こんな格好見つかったら誰に何言われるかわからんからな。
ザーーー。
周期的に引いては寄せ付ける波。
白波は綺麗に真横にくづれていく…
何もかもを引き込んでしまいそうな力強い波。
「おー。良い!良いよ
!良いよ波!今日はサーフィン日和やん」
バシャバシャとサーフボードを抱えて一気にビーチまで走る。
腰まで海水が来たところで、水面に仰向けになり空を見上げる。
段々と太陽が昇って来て朝焼けが消えていく。
俺は…この瞬間が一番好きや。
何にも捕らわれず、縛られず、あるがままの俺を強く、優しく包んでくれる。
「よっしゃー!ほな一本目行きまっせー」
腰までのウェットスーツを全て着て、ウェットスーツに身を包む。
気合いを入れて、サーフボードの上に腹ばいになりパドリングを開始するはずだった…。
「おい!」
「へ?うぉっ」
バシャン!
「…ぷっはぁー。誰や?!溺れ死んだらどないすんねん!ボケ」
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