☆手が届いたら
□ACT.3
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「…ん」
ドンッ!
「んがっ!」
朝早く一人の少年の部屋に床が抜けそうなほどの音とカエルを踏んだような音を響かせていた。
「痛い…」
そう。昨日そのまま睡魔に取り付かれて寝てしまった勝希は、ソファーの上で一夜を過ごした。
あ〜痛い〜。
腰とケツが痛い。
少しの間痛さに耐えるため、落ちたまま床で芋虫の様にもがいていた。
痛さに馴れた頃、強打した腰をさすりながら携帯の時計を確認した。
そのついでに煙草一本に火を灯す。
「ふぁー。5時前か…そろそろ行けるかな?」
吸い終わった煙草を灰皿に押し付け火を消した。
そして床から立ち上がり海に行く用意を始めた。
あ〜このダンボールの山も片付けなあかんけど…まずは…海に行かな始まらんってゆぅやん?
ダンボールの中からサーフパンツ、ウェットスーツを取り出し馴れた手つきで着替えをすましていく。
ウェットスーツを腰まで着たところで寝室に置いてある、サーフボードを抱えた。
ここ最近の息詰まったストレス、全く海に行けていない事実を思い出し、次第にソファーから落ちた痛みさえ忘れて、嬉しさのあまり、ニヤついてしまう。
さぁ!行きまっせ。
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