☆手が届いたら
□ACT.10
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あ〜、皆さんおはようございます。
俺、田端 勝希です。
昨日まで実は頭にアフロ乗っけてました。
えぇ…そりゃぁ、ハゲる勢いで…蒸れる、ズレる。
巷では、白い子豹なんて言われたらな…。
そんで、昨日まで我慢してアフロかぶってた俺の苦労は、水の泡…つまり、パァ…。
「学校行きたない。このまま…転校したい」
朝からブツブツと繰り返し愚痴は誰も居ない部屋の中で木霊してエンドレスに繰り返された。
ガチャ
一人愚痴を繰り返す勝希の部屋のドアが静かに開いた。
「しょーきー!学校行くぞ、起きてるか?」
朝から勝希とは全く違う温度差で登場した楓は、元気良く声を張り上げた。
「まだ着替えてないし、ちょぉ待ってや」
虚ろな目で応える勝希に楓は怪訝な顔で勝希の体を指差す。
「ん?もう着替えて終わってんじゃね?」
「へ?」
楓の指摘に勝希は自分の服装を鏡に映し良く見た。
い、いつの間に制服に着替えたんや?
身に付いた習慣ってのは…恐ろしいなー。
鏡から目を離し、肩の力を抜きだらりと更に、肩の力を抜ききった。
壮弥と広太は先に用があるらしく、すでに教室に到着しているらしい。
その二人の代わりに楓が勝希を迎えに来たのだ。
今まで身に付けていた、アフロのカツラ、黒縁瓶底メガネに黒いカラーコンタクトを外し、本来在るべき勝希の姿。
ばれてしまった今、無駄な変装を取り除いて勝希は学校に登校する。
…が、それでも少しの不安にかられ、部屋に飾って在ったシーサーのお面を付けて楓の前に姿を現した。
「おっし!ほな行くで」
「え?マジでそれで行くの?」
「大マジ」
「………」