ボクの事情

□ボクの事情 クリスマス編 B
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朝食を作り、さっさと洗濯を始める。
なるべくエドワードとは顔を合わせない様に、アルフォンスは家の中をくるくると動いていた。
食卓にもつかないで家の事をし始めたので、それをニーナは目で追っている。
昨日までは朝食は一緒に食べていたのに。

「ニーナ、オレと二人で保育園行こうか?」

コーヒーを飲みながら、エドワードが笑って伝える。
いつもは三人で病院の保育園に行くのに、なぜわざわざそう言うのかわからなかった。

「え…パパは?」
「パパは今日から仕事があるんだってさ。忙しいからオレと行こうぜ」
「う、うん」

二人の間の不穏な空気を読み取ってか、ニーナは黙ってエドワードにしたがった。
仲が良かったように見えたから、どうしたらいいのかわからなかった。

「…帰りはボクが迎えに行くよ」

エドワードが食べ終えた皿をかたしながら、アルフォンスが声を掛ける。
やっぱり視線を合わせない。

「別にいいぞ。お前は忙しいだろ?仕事終わったらそのまま連れて帰るだけだし」
「ボクが迎えに行くから、先生はいいよ」
「初日だから何がおこるか解らねえだろ?オレが迎えに行く」
「…わかった。じゃあ、夕飯を作って待ってる」

目もろくに合わせないで普通通りに会話をしている。
あまりにもつくろった様な会話で、ニーナは落ち着かなかった。
なぜそうなったのだろう、とニーナが考えても答えはわからない。

時間になり、ニーナとエドワードは出掛けて行った。
パタリと玄関が閉められると、洗濯物を干して掃除機をかける。
9時からはバイトが入っているので、それほどゆっくりはしていられない。
初日から遅刻なんてもっての外だ。

『…でも、今日からで気もまぎれるし…良かった…』

朝食には手を付けずに、アルフォンスはマンションを後にした。



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