・シンフォニーとバッカス

□シンフォニーとバッカス 4
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『シンフォニーとバッカス 4 』




遅めの朝ごはんを食べて、エドの部屋を後にした。
持ち帰りの仕事がたっぷりあって、今日は帰ったらやらなくちゃいけないからね。

「あんまり無理すんなよ。」

エドがなんて言ってくれて、ちょっと嬉しい。
アパートの階段を下りて、駅に向かう。
彼の家に、ボクの物が置かれるんだと嬉しくなる。
・・・パンツとシャツだけど。
ん、と思って慌てて引き返す。
トントンとドアを叩くと、エドが出てきてびっくりした顔してた。

「ごめん、やっぱり下着持って帰るよ。」
「…なんで?」
「…エ、エドに洗ってもらうの…恥ずかしいから…。」

ぶはっと大笑いされる。

「お、乙女か!!」
「うるさい、いいの!」
「でももう無理だ。洗濯機に放り込んじまった。」

ウーン、ウーンと部屋にモーター音が響いている。

「…じゃあ、干してから帰る…。」
「そっか…。じゃあ、上がれよ。」

これも却下されると思ったのに、すんなりいいって言ってくれてよかった。
洗濯機の時間を確認すると後40分と表示されていた。

「ごめん、ちょっとだけ仕事していいかな?」
「ああ、机あるからそこでしろよ。」

よかった、道具も書類も持ってきていて。
ノートパソコンを出してマーケティングの資料を纏めていると、エドが覗き込んできた。

「へえ、お前、真面目な顔もするんだな。なんか、働く男って感じだ。」
「それって普段、ボクってどういう顔してるのさ?」
「んー、ちょっと間抜けな大型犬。」
「…なんかすごく合ってるみたいで、反論できないよ。」

またエドは大笑いした。
いいな、笑ってるエドの顔。
彼と一緒に居ると楽しくって、時間を忘れてしまう。
もっとも彼がどう思ってるかなんて、知らないけど。


結局ズルズルとエドの部屋に居て、彼が仕事に行く夕方に一緒に家を出た。

「あ、これ渡しとく。」

別れ間際に、小さな金属を渡された。

「うちのスペアキー、本当に忙しかったら泊りに来いよ。」
「…ありがとう。」

これがもし女性だったら、半同棲とかっていうヤツなんだろうな…。
男友達だったら、なんていうのかボクは知らない。



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