・シンフォニーとバッカス

□シンフォニーとバッカス 2
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『シンフォニーとバッカス 2 』


家では姉ちゃんが家の真ん中で寝っころがっていた。
ボクの1個上で、元気な人だ。

「あ、おかえり〜。何、こんな時間まで?彼女とデート?」
「うっ・・・。」

思わず胸が痛み出した。
もう忘れたいのに。

「・・・あんた、もしかしてまた振られたの?」
「がふっ・・・!!」

変に鋭いのは、非常に困る。
床にうずくまっていると、追い打ちをかけられる。

「まったく、あんたの恋愛は女からすると重いのよね。ま、次は頑張んなさいよ。」

ランカランカと笑われてしまった。
そう、いつもこんな感じでバレてしまう。

「ウィンリィこそ、もう少し女らしくして彼氏でも作ってみろよ!」
「うるさい!私は仕事に恋をしているの!!」

実際、姉は可愛いしモテているみたいだけどね。
そういうのが煩わしいらしく、ボクと同棲してるって思わせているらしい。
弟だって知らない人は、勘違いするみたい。
携帯の待ち受け画面も、ボクと並んだ写真だったりするからゲンナリするよ。

「そうそう、失恋した可哀想な弟にいいものあげる。」
「・・・なんだよ。」
「今やってる仕事のコンサートチケット。2枚あるから、誰か誘って行ってきなさいよ。」
「あ、ありがとう!」
「1万6千円ね。」
「・・・なんだよ。お金取るのか。」
「当たり前でしょ?ベルリンフィルハーモニー常任指揮者のクラシックコンサートだもの。人気あるのよ。」
「クラッシックねぇ・・・。」
「ピアノ協奏曲第1番とかやるよ。この指揮者、超かっこいいし。」
「ピ、ピアノ??」

エドのこと、誘ってみようかな・・・。
ピアニストってことは、ピアノ好きってことだよね。
なんかいいかも。
二人でクラシックコンサートなんて・・・。

「・・・買う。」
「毎度あり〜♪」




『今度の水曜日の夜、用事ありますか?』

早速、彼にメールをする。
これで用事があるなんていわれたら、金券ショップに速攻で売りさばいてやる。
ドキドキしながら返信を待っていると、

『店も休みだから空いてるよ。』

よっし!
でもコンサートなんて教えたら来てくれないかもと思って、

『行きたい所があるので、付き合ってもらえませんか?』

うん、嘘は言ってない。

『いいよ。その時、指輪返すから。』


グッジョブ!!ボク!!
その後は、待ち合わせの場所とか時間とかをメールした。



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