ゾロビン

□収穫祭
1ページ/6ページ



『収穫祭』




その島は秋島だった。
小さな島だったが、島全体からほのかに甘い香りに包まれている。
島に一歩踏み入れると、その甘い香りの正体が分かった。
葡萄だ。

広々とした平地に、よく手入れの行き届いたブドウ棚が広がっている。
そして、紫色の葡萄がたわわに実っていた。
ナミはココヤシ村のミカン畑を思い出した。
この葡萄を育てている人の愛情を伺えたからだ。

「うわー、すげーなー。これみんな野生の葡萄か?」

ルフィは目をキラキラとさせて、食べる気満々で居た。

「そんな訳ないでしょ!こんなに綺麗にならんだ葡萄の木がある訳ないでしょうが!」

ナミは呆れてルフィに言った。

「一つくらい食べてもバレないよな…。」

良く色着いた葡萄の房にルフィが手をのばした時、山沿いの方から悲鳴が聞こえた。

「誰かー、助けてーー!!」

その声の方を見ると、体長10mはあろう真っ黒な熊に小さな女の子が追いかけられていた。
熊は葡萄を食べていたらしく、口の周りを濡らしていた。

「ゴムゴムのーーーーピストルーーー!!!」

いち早く動いたルフィ。
そして大熊の額めがけて思いっきり拳を叩きこんだ。
熊は吹き飛ばされて、ひっくり返る。
そのまま気絶し、動かなくなった。

女の子は、訳が分からずその場に座り込んでしまった。

ルフィは凛として叫ぶ。



「おい熊!!!オレの葡萄に手を出すなーーー!!!」


「お前んじゃねえだろ!!」
「そこかよ!!」


とサンジとウソップの突っ込みを受ける船長。

突然の事に動けずにいた女の子も、落ち着きを取り戻した。

「ありがとう、死ぬかと思ったわ。」

女の子は涙をぬぐいながら立ち上がり、ルフィたちに近づいてきた。

「大丈夫?怪我はない?」

ナミが優しく女の子に問うと

「大丈夫よ。」

と元気に答えたので、みんなホッとした。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ