ゾロビン

□君の名を呼んでみる
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いつもなら甲板の芝生の上で手入れをするが、今日は風が強くてアクアリウムのあるラウンジの一角で刀の手入れをしていた。
広々としてクルーの憩いの場で誰ともなく集まってしまうのに、今は珍しく誰もいない。

鞘から『和道一文字』を抜き、刃こぼれがないか確かめる。
エニエスロビーでは酷使したはずなのに、歪み一つない。
直刃を見ていると、心が落ち着く。

最近は何故だか、心身を乱される出来事が多かった。
集中できない時がある。
こんな感情は、武士にとってあるまじきものだし、無用だ。

しかし、しばらくするとその心の乱れの原因が現れた。

「あら、先客がいたのね。」と微笑む。
彼女も普段は甲板に専用のイスを出し、本を読むのだがやはり風のせいでこちらに来たようだ。
黒髪を揺らしながら、シャツにパンツスタイルでラウンジに入ってきた。
ロビンだ。
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