ボクの事情

□ボクの事情 3 (初夜)
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さすがに引っ越しと、新しい環境の変化にくたびれたようでニーナは風呂から上がるとあくびをしだした。
寝る支度をしてベッドに寝かせるとコテンとあっという間に夢の住人となったようだ。
そっと部屋をあとにして、エドワードの居るリビングへ戻る。
今後の事をちゃんと話さなくてはと、そう思っていたから。

「もう寝たのか?早いな」
「うん、はしゃぎ疲れたみたい。ありがとう、お風呂入れてくれて」
「たいした事ねえよ。全部自分でできるしな」
「でも子どもなんてお風呂入れた事ないだろ?」
「まあな」

エドワードの濡れた髪を乱暴にタオルで拭いただけの長い金髪がやけに目についた。
そしてなぜだかそれを見ていた自分の身体が火照って来るのだった。
熱を帯びて、クラクラする。

『なんだよ、これじゃ本当に期待してるみたいじゃないか!』

顔も熱くなり、ドキドキと心臓が鳴り思わず俯いてしまう。
そんな事はないと考えても、身体の火照りは一向に収まりそうもなかった。

「アルも入ってこいよ。んでもって、オレの寝室に来い」
「なっ…、今日…スルのなんて決めてないだろ。まだ、心の準備が…」
「何言ってんだよ。そんな真っ赤な顔してさ。お前だって考えてなかった訳じゃねえんだろ?」
「そ、それは…」
「わかっててオレんとこ来たんだろうが?今更、無理だって出ていくか?」
「スルよ、スレばいいんだろ!?」

ドカドカと風呂に入って、身体を洗う。
浴室についていた鏡をまともに見る事ができなかった。
どんなふうにエドワードに映っているのかなんて、知りたくなかったから。



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