Song of the sea シリーズ
□Song of the sea 1.5
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少しでも親の記憶が戻ればいいなと、願いを込めて撫でてやる。
するとムグムグと口元が動き、アルフォンスは呟いた。
「…しょうさぁ、……好き……。」
その言葉にエドワードの手が止まる。
起きているのかと思ったが、しっかりと眠りについているようだ。
そして急な告白に、顔が熱くなった。
無意識であるから、裏がある訳でなく本心なのだろう。
だから余計にどうしたらいいか、解らなくなった。
今まで告白された事は、少なからずあるエドワードだったがこんなにもバクバクと心臓が鳴る事なんてなかった。
「…お前なぁ…、寝てても騒がしいんだな…。」
自分がこんな風に恥ずかしくなっている事が意外で、思わず寝顔に文句を言う。
たかが寝言で言った事を、真に受けるなんて。
赤くなっているだろう顔を、片手で覆う。
1人で慌てている自分が滑稽だと解っている。
その原因のアルフォンスはそんな事気が付かないまま幸せそうに眠っていた。
月明かりで照らされる顔は、まるで輝いているようだ。
「…枕と毛布もついでに買ってくるか…。」
母がそうしてくれたように、エドワードはアルフォンスの額に唇を寄せた。
そして、いい夢が見られるようにと願う。
次の日、帰宅したエドワードは大きな荷物を抱えていた。
ひとつは毛布。
羊毛の肌触りの良い暖かな毛布。
もう一つは枕。
羽毛で大き目のフカフカの枕。
それはアルフォンスのお気に入りとなり、とても喜んだ。
しかし、同時に買ってきた部屋の鍵はアルフォンスのお気に入りとはならなかった。
2012/11/09
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