Song of the sea シリーズ

□Song of the sea 1.5
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触れたくなって頭に手をおくと、ビクリと身体を震わせて金色の瞳を開けた。
すぐに起き上がろうとしたから、

「悪い、起こしたか?まだ夜中だ、寝てろ。」

そう言うと、安心したのかまた目を瞑った。
いつも神経を高ぶらせている、野生動物のようだと思った。
しっかりと寝付いている訳ではない。
気の抜けない、殺伐とした暮らしをしていたのだからそうなってしまったのだ。

まだ幼かっただろう頃に、親の記憶も無く一人で居たと思うと、どうしようもなく自分の無力さを感じる。

声を上げて泣く事も許されず、いつも笑顔でいることを強要されていた。
自分の感情を押し殺して、いつの間にか心の自由を無くしてしまった。
それが今、少しづつではあるが取り戻している。
夜這いという行為は迷惑だが、その感情を尊重しつつ自分の立場を自覚してもらいたい、そうエドワードは考えていた。

恐る恐る柔らかな髪に手を当てて、撫でてやる。
少し顔を歪めたが、何度か優しく撫でるとまたうっすらと笑みを浮かべた。
もしかしたらこうして撫でられることも無かったのかもしれない。

幼い頃の弟の寝顔を思い出す。
いつも一緒で、母が頭を優しく撫でてくれていた。
自分の中で、幸せな記憶だ。
きっと、アルフォンスの母もそうしていただろう。


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