Song of the sea シリーズ

□Song of the sea 1.5
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ランプの油が尽きて、炎がチカチカとしはじめた頃にようやく一区切りつける。
少し喉が渇いて、水でも飲んでから寝ようと足音に気を付けてエドワードは階下へと向かった。


真っ暗なリビングに一筋、月明かりが差し込んでいた。
手に持つランプの炎はゆらゆらと揺れ、薄ぼんやりと部屋を明るくする。
キッチンで水をくみ飲み干すと、なんとなく足をソファに向ける。
ギイギイと古い床板の軋みに気を使い、ゆっくりと近づいた。

「ははっ、よく寝てら。」

少し笑みを浮かべ、月明かりに照らされて寝ているアルフォンスの顔は本当に幼い子供にしか見えない。
何も知らない、無垢な子供に。
まるで天使画の様に、すやすやと眠りについていた。

決して寝心地のいいソファではないはず。
もうくたびれて、だいぶ綿もへたれていた。
なのに、薄っぺらい毛布にくるまりふくふくと寝ている。
枕代わりのクッションだって良いものでもない。
それでも満足げに、身体を小さく折りたたんで寝ていた。

「ったく、人のこと起こしておいて自分は安眠してるのかよ。」

海賊の暮らしはいつも危険と隣り合わせだ。
他の海賊に狙われる事もあるだろうし、海上なら天候だってすぐに変わる。
海軍の夜襲だってあっただろう。

今までの船長にはこんな風に平穏に寝かされていなかったのかもしれない。


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