創作
□雪の華
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真波はうちのクラス一の美少女で、男子からの人気だって女子からの人気だって高い。
子鹿みたいに大きな瞳でウルウルっと見つめられたり、高くて甘い声で何か頼まれたりすると何も言えなくなっちゃって、何でも聞いちゃう。
「ね、紗倉。いっしょに購買行こう」
今だって。
「…いいよ」
ホントは休み時間に終わってないプリント終わす予定だったんだけど、真波のいう事が何よりも優先。
「んー、なんか浮かない声じゃん。本当は真波と購買行きたくなかったぁ?」
うわっ上目遣い。
「いや、全然行きたいから大丈夫」
「うふふ、なんか変な言い方だね」
焦ったんだもん、仕方ないじゃん。
あたしは真波のキラキラした上目遣いが苦手で、それをされるとなんか心臓がぎゅって苦しくなる。
「ほら、なら早く行こう」
だからもう耐えられなくなって、ちょっと強引に真波の手を握って引きずるようにクラスを出た。