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□脳みそがフリーズ
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「今日は楽しんでけよ!」




始まりましたパーティー!

氷帝の跡部くん宅で行われたパーティーにお呼ばれした私たち立海は、食事やダンス、お喋りを楽しんでいた。
他にも青学、はるばる遠くから四天宝寺中も来ている。




「んーっ美味しい!」




マネである私も当然同行。

まさかテニス部のマネージャーってだけでこんな素晴らしいパーティーに呼ばれるとは思わなかった。
テニス部に誘ってくれてありがとう、幸村さん。




「それ以上デブになっても知らねーぞ!」

「うっさいバカ也!」




唯一同い年のレギュラー、切原赤也は私のことを馬鹿にしてきた。

うるさいなーこういう時はいいんだよーだ。赤也も先輩たちみたいに優しい男性になりなさい!
立海の先輩はみんな紳士的で優しいのに赤也は何であんなに子供っぽいのかな、全く。


私は甘いケーキを口に頬張り、また頬が緩んだ。
うーん、美味しい。さすが。




「美味ぇな!」

「うんうん!美味しいね!」




まぁ、馬が合うからいいのだけど。




「ちなつちゃん!」

「あ、鳳くん!」




笑顔で話しかけてくれたのは氷帝2年の鳳長太郎くんだ。

関東、全国だけでなく合同練習もしたりして何度も顔を合わせているからか、すっかり仲よくなってしまった。
背が高くて性格も優しくて、最高の男の子です。




「久しぶり!跡部さんに頼んでアレ、注文してもらったよ!」

「本当!?」

「うん!あっち、行こう!」

「うん!赤也、ちょっと行ってくるね〜」

「あ……おいちなつ!!」




長太郎くんに案内されて着いた場所は、最高級のメロン。

メロンメロンメロン。


し、幸せ…!


私は少し長太郎くんとお話して、メロンをたくさん頬張って、すごい幸せな1日となりました。











「ありがとね、跡部。楽しかったよ」

「あぁ。近々やるやつも楽しみにしてろ」




1日が終わって、バスに乗り込む。
ふぅ、楽しかったなーとっても!

隣に座る赤也は珍しく不機嫌だ。
楽しくなかったのかな。行く前はあんなに楽しそうだったのに。






「赤也、近々だって、楽しみだね!」

「………。」






無視かよ。

こうなった赤也はもう手がつけられない。
私は溜め息をついて、窓の外を見た。


あ、長太郎くんがいる。


私は携帯を取り出してササッとメールを打った。
長太郎くんはメールを見て私を見てニコニコしながら手を振ってくれる。

うぅ…やっぱあの笑顔は素敵。爽やか。

私も手を振り返して2人でニコニコしていると、急に長太郎くんの顔が苦笑いになった。


後ろを振り向けば赤也が親指を下に――…って!




「何やってんの馬鹿!」

「ってぇ!何すんだよ!!」

「こっちのセリフだから!」

「俺アイツ嫌いなんだよ!」




だからなんだ!
長太郎くんは何も悪いことしてないじゃん!あんなにいい人なのに…バカ也!

あとでメールで謝っておこう。ごめんね長太郎くん。気を悪くさせてしまって。




「次も楽しみだなぁ」

「…そーかよ」




あ、返事返してくれた。

未だ不機嫌な赤也は私の方を見てくれない。




「楽しくなかったの?」

「全然」

「ふーん。あ、長太郎くんともまた近々会えるのかー嬉しいなぁ」

「……あー、もう!」




小さい声で何か言ったかと思うと、私の腕思いっきり引っ張った。

当然、私は赤也の方へ顔を向けていて、そのまま倒れて行く。


赤也のもう片方の腕が、私の頭に回されて。



そのまま――…キス、された。



…………え?






「……俺、謝んねーからな」






ゆっくり離れて、私が放心状態になっている時に、そう言われた。






「ちなつが鳳の話ばっかすんのが悪ぃんだからな!俺は悪くねぇ!」






そのまま、私から顔を背ける。


……今、一体、何が起こった。














脳みそがフリーズ
(理解するまで、あと数秒)



((先輩達気付いてないかな…よ、よかった……って、良くないじゃん!え、今の何っ…!?))

((俺は悪くねぇ!ちなつが鳳ばっか構うのがいけねーんだ!いつもは俺にベッタリなくせに!ちなつのアホ馬鹿!いい加減好きなの気付けよばーか!))


(全く、夫婦喧嘩は余所でしてほしいよ)
(全くじゃ)
(赤也も器用じゃねぇからなー)
(だからと言って嫉妬に任せてキスするのはどうかと思うな)
(本当ですよ。困ったものです)
(真田、珍しく怒らねーんだな)
(…あぁ、さっきまでうるさかったのが静かになるならプラスマイナス0だろう。ただし今回だけだ)

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