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□秘密と内緒
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「うわーマジ嬉しいーっす!」

「赤也くん可愛い!」

「私のもあげるーっ」

「ありがとうございまーす!」




ちやほやちやほや。


昼休み、教室の中はお姉さんたちがたくさんいた。

その中心にいるのはテニス部レギュラーで2年エースの切原赤也。
見ての通り、年上にはかなりの人気。いや、タメにも年下にも人気あるけど。




「うわーすごいね切原!」

「うんうん、さすがって感じ!」




周りの子達はそう口々に言う。む、気に食わない。

あんなの猫被って食べ物巻き上げてるだけだ。食べ物に目が行ってるだけだ。女の敵め。




「切原ってさー本当人気あるよねーっ」

「いやーあれだけかっこよかったら当たり前っしょ!」

「……全然かっこよくなんかない」

「ちなつ、本当に切原嫌いだね」




クラスの皆には私と切原が仲悪いように見えるらしい。

そりゃ、教室内じゃ話さないけど、別に仲が悪い訳じゃない。




「ちなつー」

「ばっ!まだ学校内!」

「人いないから平気だっつーの。可愛いー!」

「うわっ!」




あの光景が見飽きた私は図書室へ。

広い図書室だからか、人が少なく感じる。いや、今日はいつもより少ないけど。




「……お姉さんからたくさんお菓子もらってた」

「彼女いるって言えば手っ取り早いんだけどなー」

「言えばいいじゃん」




別に隠してる訳じゃない。切原が言わないから私も言わないだけ。

バレたら当分驚かれるんだろうなぁ。嫌い合ってるって思われてるし。




「なーに不貞腐れてんの?」

「…うっざ」

「ちょ、嘘!ごめんって!」




な、な?って謝ってくる。

わかってやってるなら尚更質悪い。何考えてんだこの人。






「な、許して?」

「――ん!?」






急に抱き締めて、強引に深く口づけた。
離れようとしたけど力が強くて離れない。さ、酸欠で死ぬ…!!




「……っは、機嫌直った?」

「……バレたらどうすんの!!」

「ちょ、痛いッ!嬉しいくせに!」

「〜〜っ」




何だかんだ、余裕ぶってる私の方が切原よりも余裕ないって情けない話だ。

頭的には馬鹿なはずの彼は、1枚私より上手。

ニヤニヤしながら聞いてくる彼に目線をそらすように顔を背ければ、顎を掴まれ向かされた。




「秘密の恋って燃えね?」

「……いつまで隠すの?」

「んーバラしたいなら別にいーけど?」

「…いいや、このままでも」

「ちなつも満更でもないじゃん」




スリルあって面白いと思うのは確かだ。

いつ見られるかドキドキワクワク。バレたときのみんなの反応も楽しみ。






「ちなつ、好き」

「…ん、好き」

「でれ!ちなつがデレたあ!可愛い!」

「ぐえ」






切原がこの調子じゃ、

バレるのも時間の問題だな。














秘密と内緒
(さぁ、いつまでもつだろう)



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