愛犬万歳2
□AIKENBANZAI2
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試験内容は毎回違うの?
「その成犬検査だけど、試験内容は毎回違うのかな?
科目・・というか犬の資質によって(Mかトップ気質なのか、戦闘用とか鑑賞用かなど)によって試験問題が違ったりもするの?」
「試験毎に違いますね。 しかし、犬の種類によって変えるということではありません。ただランダムなだけだと思います。
「さっきの質問に被っちゃうけど、たとえば試験科目のエロティックなショーには、どれくらいのバリエーションがあるの?」
「う〜ん。数えたことないけど20パターンくらいかな?
エロティックなショーがメインだけど、それだけではないんですよ」
成犬審査
犬・エリック
ちょっと前から誰か監視しているのは気づいてたよ。
ある日、上品な応接間みたいなところに連れていかれた。
みじめだったな。ボールとってこいとか、それをケツ――。
そのザマをむこうは豚でも品評するみたいに冷たく見てやがんだ。
でも、反抗なんてできなかった。もうその頃にはご主人様がおれの頭を押さえつけてたからね
「試験の、合格判定基準は?」
合格判定基準
「見るのは、従順さです。
ある行動をとったから、合格というものではありません。
経験豊かなデクリオンたちが、犬の立ち居振舞いすべてから総合的に判断します。
主人に対して、心から服従しているか。犬の身分を受け入れたか。ヴィラに対して反抗心を残していないか。
この判断を間違うと、大事故の元なので大事な審査なんですよ」
「その試験内容は犬と主人にいつ知らされるの? もしかして試験場でいきなり?」
「いきなりです。(笑)われわれはショーの出来を見るわけではなく、犬の内面を見たいので」
「だとしたら、ヴィラから試験前にあらかじめアドバイスがなされるなんてことはないんだね?」
「ヴィラからは特にないですね」
「編集部からの最期の質問。 試験の結果如何でプラチナ犬になったり地下に行ったりするのですか? 」
「いいえ。プラチナ犬というのは犬の資質から選ばれます。
優れたアーティストであり、かつ美貌の持ち主であるとか。あと貴族や有名人とかね。これらは売り出される前に判定されます。
地下の犬というのはまた別で、たいがいが売れ残りの犬ですね。買い手がつかなかったり、何度も売り戻されたりした犬が安価で売り出されます」
「なるほど〜。どうも有り難う! 最期におサルから質問。審査でのノエルの立場はどうなのか聞いてもいいかな? アクトーレスっていう立場上、犬と主人側についているものなの? それともヴィラ側の立場で審査問題を言い渡す側なの?」
「審査の時ですよね。
アクトーレスは審査ではただの裏方なんですよ。
審査がとどこおりなく進むよう、審査側とご主人様側をとりもったり、犬のための器具を用意したりとか。
ただそう言いつつも、心のなかでは「受かってくれ」と思っています。(笑)
目で犬を睨んだり、うながしたりしてね。審査員に聞かれた時はよさそうなことを言いそうになったり。(笑)
落ちれば調教が続いて手間ということもあるけど、――やっぱりお客様ががっかりされると、こっちも気まずいんで。(笑)
「ノエル、忙しい調教の合間に愛犬万歳のために協力してくれて どうも有り難う! 最期に ご主人様がたにノエルから一言、 どうぞ!」
「えらそうにしゃべってしまって、どうも。(笑)
審査に構える必要はまったくありませんよ。調教だけはしっかりして、審査には、自慢するぐらいの気分で、リラックスしてのぞんでください」
企画/あお
制作/おサル/フミウス
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