愛犬万歳2
□AIKENBANZAI2
82ページ/138ページ
「お待たせしました」
アキレウスのような金髪の偉丈夫が現れた。
愛犬万歳編集部のリクエストに応じてヴィラが紹介したのは、ノエル・アストンであった。
「うわ! エリックの乳売りアクトーレスだ!」
お気に入りのアクトーレス登場に編集部記者、おサル卿は興奮して思わずナンキンタマスダレる。
ノエル・アストンは笑い、
「乳売りってなんですか。たしかにエリックのアクトーレスですけど――」
「いやいや。君は乳の呼び売りで一躍人気者さ☆」
おサル卿は固く握手したアクトーレスの手をぶんぶん振り回す。
「それでなくとも君のアシストは素晴しかった! 私は君を高く評価しているんだ。今日は忙しい中すまないが、よろしく!」
ノエルは笑顔で頷くと、
「成犬検査について質問があるそうですね? 静かな場所へいきましょうか。どうぞこちらへ」
向かい合って腰を落ちつけると、早速手帳とペンを取り出したおサル卿は、
「ええと、これはわが編集部内の疑問で、内容は成犬検査についてのイロイロエロエロなんだ。もちろんヴィラ的にNGな質問には答えなくていいからね。
仔犬は受かりたいの?
「まず成犬検査って、基本 立ち会うのは誰と誰? 主人も同席していいんだよね? 大体 何人以上が立ち会えば成立するの? 立ち会う試験官の役職も教えて貰えるかな?」
「成犬審査に立ち会うのはご主人様、担当アクトーレス、デクリオンクラスのアクトーレスが三人以上。犬によっては、ほかにえらいさんが見にきたりしますが、だいたいそんなもんですね」
「われわれの疑問はね。一体 その審査に、仔犬は受かりたいと思っているのか? ってこと。
同時に 主人も仔犬を合格させたいと思うのか? もしそうだとしたら、それは、なぜ?」
「ご主人様は、もちろん合格させたいでしょう。いつまでも仔犬が従わないと、仲間内で体裁が悪いと思われるようです。調教能力がない、主人としてカリスマがない、と思われるらしくて。
仔犬のほうは、審査がそもそもなんだかわかってないことがほとんどなので、受かりたいという意識はあんまりないんじゃないかな」
成犬審査
犬・ランディ
成犬審査――
今でも身震いするぐらいイヤな思い出です。
変な連中に囲まれて、輪姦されるかと思った。
ご主人様にキレられたくなくて、懸命に言うことをききましたよ。
ひどい命令だった。終わった後で泣きました。
でもあとで、あれが審査で、合格したんだって聞きました。