愛犬万歳2

□AIKENBANZAI2
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ーーーそれが冒頭のいちゃコラタイムである。ーーーーー


いくら広いとはいえ 同じ室内でいちゃつくアクトーレスとパトリキの身勝手さに、
家令フミウスは苦虫を噛み潰した顔でトレドウェルが慇懃に差し出した紅茶を受け取ると一気に飲み干した。

――ウオッアチャアアアッ!! 

アヂヂチ!

思い切り熱い紅茶で舌を火傷して大騒ぎするフミウスに、トレドウェルが冷静に氷水のグラスを差し出す。

「フミウス君、うるさいよ」

「なんだ?危ないじゃないか?」

陽だまりでアクトーレスを膝に乗せたままおサル卿が振り返る。

手にしているのは今しがたアクトーレスをも悶えさせていた武器===竹製で頭に真っ白な羽根のボンボンがついた定番の耳かき棒だ。

見事、犬を買って旅にでたおサル卿はご褒美の<お気に入りのアクトーレスと>の続きが【いつもどおり犬を調教しましょう】だったと家令フミウスが言い張るのにもかかわらず、超期待権侵害だと涙を流し補佐にまで上申して猛抗議の上、<お気に入りのアクトーレスと耳かきごっこ>の権利にすり替えることにめでたく成功していた。

『おれは忙しいんだ!大体なんでおれがッ!?あんなヘンタイの屋敷に身一つで行ったら最期、何されるか判らんっ!このクソ忙しい時に・・・お前が責任取ってついて来い!』

身の危険を感じたアクトーレスの激しい抗議とたっての要望で家令はハードスケジュールの中、アクトーレスの付き添いとして同伴でおサル邸を訪れていた。

さっきまでアクトーレスにシて貰ってアヘアヘと涎をたらしていたおサル卿が、今はアクトーレスにお返しの耳かきの真っ最中でご満悦だ。

存外と耳かきは気持ちのいいものだったらしく、あれほど大騒ぎして怒っていたアクトーレスは、生来のノリのよさを発揮して居心地の良いドムスで日頃の喧騒を忘れすっかりまったりと寛いでいる。

「どうだ?いいか?もっとか?」

「んン。そこ、くすぐったいです」

くすくすと二人だけで楽しんでいる。

「ーーーあほくさ@ーーー」

家令の心の声を聴いたのか、トレドウェルが目顔でメッと優しく叱ってくる。

いつになれば帰れるのか?
ひっきりなしに鳴るポケットのマナーモードの携帯を気にしつつ、4周年記念愛犬万歳二号発刊で売れた犬の総額と自分の苦行が引き合うのか遠い目で計算する家令フミウスなのであった。


                          ☆おしまい☆



作/おサル
企画/マダム・汁流




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