愛犬万歳2

□AIKENBANZAI2
110ページ/138ページ


「イッツ、ショータイム!」

おれは媚び笑いを浮かべ、ベッドの前でくるりとまわった。女物のキャミソールが雲のようにフリルを舞い上がらせる。

主人の顔に好色な笑いが浮かんでいた。

おれはムーディーな音楽をかけ、ベッドのまわりでくねくね踊った。主人の手が伸びる度にそれをかわし、下着のフリルだけを触らせてやる。

さらに目隠しをとると、主人の目を覆った。

「これ。艶姿が見えんじゃないか」

「こうすると、よけい感覚が冴えてエロい気分が高まるんですよ。オイル塗りますね」

主人の口が気の毒なほど笑みくずれている。

おれはエロい冗談を言い、主人のペニスをさすりながら、目で合図した。

同じキャミソールを着たクレイグが現れる。薄暗がりでもそれとわかるほどの興奮ぶりだ。

「あ……もう」

おれはかすれた声を出しながら、場所をクレイグにゆずった。クレイグがベッドに乗り、そろそろと尻を下げる。

「うアッ――!」

ペニスを尻に含んだ瞬間、彼は電撃を浴びたようにのけぞった。あわててその手をつかみ、口を押さえさせる。

「イヴォン?」

主人がいぶかって目隠しした顔をあげる。
おれは喘ぎながら、

「なんか、すごく、イイ。ご主人様は?」

「いいが、やっぱり見たいよ」

「ダメです。ペニスだけでぼくを感じて」

クレイグにはじめるようにあごをしゃくる。口をおさえていたクレイグはふるえるようにうなずき、腰を浮かせた。

「うふ――」

クレイグの腰が機関車の車輪のようにめぐりはじめた。

キャミソールの胸がはげしく喘いでいる。懸命に口をおさえているが、ふいごのような鼻息がもれていた。

「イヴォン――今日はやけに、絞り上げるな」

主人があえぎまじりに笑う。

「そう? ぼくも感じてるんです。ご主人様を、全身で」

「どれ、こっちは」

主人の太い指がクレイグのキャミソールをまくりあげた。ペニスをつかむ。

「ンヒッ」

クレイグが目を剥く。

おれは焦った。おれとクレイグではサイズがまるで違う。あわてて主人の指をはがそうとすると、クレイグがおれの手首をむずとつかんだ。

(こいつ)

クレイグは主人の太い指につかまれて、恍惚としていた。邪魔立て無用とおれを突き飛ばす。

もはやふたりの世界だった。

クレイグは主人のペニスを奥深くまでふくみ、からだ中で感じながら腰をくねらせた。

精悍な額から汗がたれ、睫毛の間からうれし涙がこぼれている。

「う……ンふッ」

年上の男に貫かれ、太い指でペニスを愛撫され、彼は歓喜で気絶寸前だった。主人の指が彼の濡れた亀頭を撫でまわすたびに、いななくようにふるえる。

「あふ、アアッ」

彼はこぶしを噛み、片手でキャミソールの胸を掴んだ。

レースの裾からあふれたでかい尻が悩ましげにおどりあがる。主人をしゃぶりあげ、揺れるたびに卑猥な音と滴が散る。

馬のようにたくましい尻が汗に濡れていた。主人の内股がジェルとたがいの体液でテラテラと光っていた。

「ハア、アアッ」

おれは彼に合わせて喘いだ。主人のほうも昂ぶりきっている。

「イヴォン――おお」

「ご主人様――」

主人の咽喉がぐっと詰まり、腰が硬くつっぱった。クレイグの腰がのびあがる。

クレイグのペニスから鋭く精が飛んだ。

彼は弓ぞりにそりかえり、エクスタシーに砕けそうになっていた。

「あ、アアッ!」

彼は悲鳴とともに主人の胸に倒れ伏した。

(なに?!)

「……イヴォン?」

おれはあわててライトを消し、クレイグをつかみ、ベッドから追い出した。




「このやろう、調子に乗りやがって」

すまんといいつつ、クレイグはいとしげにキャミソールをながめている。大満足らしい。

「これ一回だからな」

クレイグは余韻に浸って、返事さえしない。

もっともおれも、楽しくないわけではなかった。抱かれているクレイグはすさまじく色っぽかった。眉をよせた彼の横顔を思うと、下腹がじわじわと熱くなってくる。

もうしばらくしたら、またやってみたいなと思わぬでもない。



―了―



作/鈴鹿ふみ
企画/マダム・汁流




目次

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ