愛犬万歳2

□AIKENBANZAI2
106ページ/138ページ



 
アクトーレスに付き添われてドムスまで来た青年は、最初ちょっと驚いた顔をしていた。

無理もない。
主人は矍鑠としているもののどこから見ても老人だし、私だっていい加減薹のたった中年だ。

わざわざ地下から若い子を呼ぶくらいだから、きっと精力絶倫の若い主人や飼い犬を想像していたのだろう。

「ごめんなさいね、あなたのお相手をするのがこんなおじさんで。」

そう言いながら、若い犬にすり寄ってみる。

年をとれば、それなりに自分に適した色気の出し方がわかってくるものだ。すると男は、主人の方を気にしだした。

成功だ。彼は私に対して色気を感じてくれている。

しかし、素直に誘いに乗って、飼い主の不興を買っても困る。その葛藤から視線が泳ぐ。

意味のない葛藤だ。主人は、彼を検分するかのように眺めているけれど、主人は、君ではなく、君に責められて喘ぐ私を見たがっているのだから。君がちゃんと私を喘がせる事ができるかどうかが気になっているんだよ。

「誰かに見られながらするのは初めて?気にしなくても大丈夫だよ。」

戸惑っているようだ。愛犬の喘ぐ様を見たいが自分では抱かないという心理は、理解しがたいだろう。特に、かれのような若者には。

ベッドにそっと押し倒すと上にのしかかり、何か言いたげに開いた唇をふさぐ。彼の口の中で一匹の生き物のように舌を踊らせる。

上あごを撫で、歯列をなぞる。初めこそどう応えていいかわからないようだったが、なだめるように頬に手を当てながら根気よく彼の舌を吸い続ける。

しだいに彼の舌がもう一匹のつがいのように求愛のダンスに誘われてくれる。そこまで来たら私はあえて触れるか触れないかの軽いキスをし、代わりにほかの所にキスをする。ほほや鼻の頭。首筋。子供のおあそびのようなキス。さっきまでのフレンチの反応とのギャップが楽しい。

本命の場所、おそらく彼が一番キスしてほしかった場所にいよいよキスをする。頭上からこらえる様な吐息が聞こえる。

素直に喘がないのは、男としてのプライド?確かに、家令にオーダーを出した時はトップの得意な子という注文を付けたからね。しかし、声を殺しても体は正直だ。徐々に硬く、大きくなっていく。

私はちらりと主人の顔を見る。主人はそれに応え、にやりと笑う。主人の許可が出た。

おもむろに若い犬の体にまたがり、私の中に受け入れる。さすがに、今度の声はこらえきれなかったらしい。いいよ、もっと素直に声をあげて。その方が私も盛り上がるから。

ベッドの横で椅子に腰かけている主人に目線を送る。

ねえ、ご主人様見て。あなたのかわいい犬があなたのために可愛い顔してギャロップを踊るところを。

本当は、あなたに抱かれたいんだよ。私はあなたに抱かれている時が一番幸せなのに。だけどあなたは、ほかの男に私を抱かせる。意地悪なご主人様。

若い男の腹の上で踊るのは正直言って体力がいる。相手は、動いていいと判断したのだろう、下からの突き上げも激しくなってくる。

喘ぎとは別の意味で息が上がり、ふらふらしてきた頃。
主人がそっと近づき、若い男にささやいた。

「こいつは、激しく犯されるのが好きなんだよ。」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ