愛犬万歳2
□AIKENBANZAI2
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――ゴチソウサマデス。では、他の主従にはないかもしれない、アマリリスさんとご主人様の間だけの決まりごと、ありましたら聞かせてください。
アマリリス: 最近はヴィラでも珍しくなりつつありますが、ご主人様の意志で私はこの通り、着衣で立位歩行です。ドッグ・マーケットが出来る前から一人でお買い物とか習い事通ってます。ご主人様が出不精だから「行きたきゃ勝手に行け」が我が家の信条です。自立心?
――ああ、うちもそうです。図書館とか、「1人で行けば?」って絶対に付き合ってもらえない(笑)
ではドムスに関係してもう1つ。実はうち、中庭で、外からは見えないところに「ししおどし」があるんですけど
アマリリス: あれなんで鹿を嚇すのに「しし」なんですかね?(ニホンゴ教室で愛用のパンダが表紙のジャポニカノートを手に) 獅子ではないとは思っていましたが、イノシシかと思ってました。それに日本ってそんなに鹿出るんですか?(博識のモンドに逆質問)
――基本的に『しし』っていうのは、鹿に限らず、獣(とくに食べる獣、猪とか鹿とか)一般のことを指すんですよ。そもそも『ししおどし』っていうのは、『獣を脅かして追い払うもの』全般を指すので、あの竹と『カコーン』って音がする奴(『添水(そうず)』)に限らず、案山子とか鳴子とかも含むみたいなんですよね。まあ、普通『ししおどし』といえば『添水』なんですけど。で、『ししおどし』には『しかおどし』っていう別名があることから、『鹿』の字をあてるのが普通になっているようです。ちなみに、案山子も『しかおどし』という別名があるらしいので、昔から日本人は鹿の害に手を焼いていたんだろうなあというのが個人的な俺の予想ですが。
…って、しゃべりすぎですね(苦笑)では、本題に戻して、アマリリスさんの住んでいるドムスに他のドムスにはないであろう珍しいものとか、特徴とかありますか?
アマリリス: ウチには水琴窟がありますよ。あと金魚のいる池には睡蓮でしょ、お庭にはビオトープ。あとフツーに畑。小さな温室もあります。
――それは珍しい!うちにも取り入れてみたいな…でも、水琴窟は耳の遠いうちの主人には『音が聞こえない!』らしくて(笑)
では、ちょっと聞きづらいことですが、思い切ってお尋ねいたします。覚悟はよろしいですか?
アマリリス: はい!(背筋を伸ばす)
――「今の」ご主人様に限らなくて結構です。今までご主人様にされた「お仕置き」のうち、一番つらかったことって何ですか?
アマリリス: 前のご主人様……正確にはご主人様とは思っていないんですけどね、その人には恨まれていたこと。でもそれは仕方のないこと。愛ではなく執着、そこに憎悪が加わると人はとても残酷になりますね。
――おそらく、この世で一番恐ろしいのは『人の情』ってやつですもんね。憎悪は人を180度変えてしまうから…あ、暗くしちゃってごめんなさい。アマリリスさんが『ご主人様』と思える方で答えていただいて結構ですよ。
アマリリス: 今のご主人様、と言うかそんな訳で、私のご主人様は今のご主人様だけなんですけどね、お仕置きじゃないんですけど、なかなかヴィラに来てくれないのが辛いです(めそめそ)
――うわあ、それはキツいですね。ちなみに、何をしたんですか、その時…ていうか、お仕置きじゃないですよね、それは
アマリリス: 私怒られたことありませんけど? それはそれで寂しいですかね? 飽きられたのでしょうか?(めそめそめそ)
――そんなわけないですよ、むしろ信頼されているんだと思いますけど…あんまり突っ込むとヤブヘビになりそうなのでこの辺にします。
では気を取り直して…アマリリスさんのご主人様の秘密、ここでこっそり暴露してください!
アマリリス: 見たまんまです。良くも悪くも裏表がありません。
――大丈夫ですって、俺、こう見えても口は固いんですよ。…あれ? 飲み物が足りませんか?? ささ、これを飲んでお口を滑らかに♪
アマリリス: 本当ですよ! 嘘も言わなければ本当のことも言わないだけで……あれ? あ、ドリンクありがとうございます。ミントソーダって夏らしくていいですね。
――えへへ、ありがとうございます。ちっ、アマリリスさんはガード堅いなあ…
アマリリス: 私、何か変なこと言ってます?
――いえいえ、全然
では再度気を取り直しまして、最後にご主人様にメッセージをどうぞ。
アマリリス: 今年の夏も我が家の畑は豊作です。いっぱいお料理作りますから、いっぱい食べて下さいね。ずーっと一生お側にいます。
――…あ、いえ、気持ちがダダ漏れで、俺が照れそう(笑)
では、次にインタビューを受けてくれそうな方を紹介していただきないのですが、誰かいい人いませんか?
アマリリス: では次はウチの大型座敷犬な彼に(笑)
――それでは、次に行きたいと思います。
本日はありがとうございました!
協力/さい
企画制作/海藍
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