TSUBASA Novel 2
□心の準備
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落ち着かない。
「あ、黒ぽんおかえりー」
「てめぇ…なにしてやがる」
「なにってー?見たままだけどー?」
「なんの嫌がらせだ…!遠まわしに死ねっていってんのか!?」
「はぁ?なんでそうなるのー?」
「それ以外にどうとれってんだッ」
「ただの心の準備だよー」
「心のじゃねぇだろそれ実物じゃねぇか!」
日常が穏やかであればあるほど。
「いつか必要になると思ってー」
壊れる日が来るのが恐ろしくて恐ろしくて。
「そのときになったらオレ、こんなことしてあげられる余裕ないかもしれないしね?」
君の墓を、作った。
「なんだったらこの国の人達全員分つくってあげるよー」
「いらねぇよ」
「多分オレが、一番最後だとおもうから」
葬花のかわりに、白い野菊を一輪摘んだ。
君に花を手向けるオレの手は泥だらけで汚らしいので少し残念に思う。
「みんな見送ってあげるからね」
end