TSUBASA Novel 2

□見失う自我
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 それはまるで十戒のように重く密やかに魂を揺さぶる。


 殺せ、と。
 


「オレを好き?」
「…好き」
「オレも好き」
「どのくらい?」
「殺したいほど好き?」
「死なせてあげたい」
「黒鋼は?」

 嫌い、と答えたのは、

「うそつき」

 殺せるほどの好きじゃないから。

「オレより愛したくせに」

 どっちが誰で誰が君で君がオレだった?
 だからオレはもうどこにもいないのに。

「黒鋼は殺せないくせに」 

 終わらせることが愛情表現ならこれは愛ではないはずなのに。










end
 

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